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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第24話 VSザ・デッド――試合開始
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「満月ラッシュ!!」

 青い満月の夜空をバックに、ロビンとフェイが互いに向き合う様な形で、ロビンは拳打を、フェイはキックを一つのボールに向かって何度も繰り出す。
 両者の激しいの連撃を受けたボールは一つの大きな満月と化し、強力な隕石の様なシュートとなってゴールへ向い突き進んでいく。

『出たぁー! フェイ選手の化身シュート技、《満月ラッシュ》! 巨大な満月と化したシュートがザ・デッドゴールを襲います!! このまま、テンマーズ先制点なるか!?』

「おやおや、初っ端から飛ばしますねぇ…………」

 フェイの後ろで、スキアがそう愉快そうに呟く。
 その間にも、フェイの繰り出したシュートは青いオーラを纏いながら猛スピードで、ザ・デッドのゴールに向かって突き進んでいく。

 不気味な敵、不気味な世界……
 その中で行われるサッカーバトル……
 言い表し様の無い不安感を抱える中、ここで取る一点はチームにとって大きな支えとなる。
 大半がデュプリで形成されたこのチームで、メンバーは自分とアステリだけだけど……
だからこそ、この一点は大切だ。

 強く蹴り落としたシュートを見詰め、そう言葉を巡らす。
 青い光を放つシュートがゴールキーパー、アグリィの正面目掛けて飛んでいく。

「……………………ぇ……ッ」

 瞬間、フェイは自分の目を疑った。
 ゴール目掛け突き進んでいったシュートは、アグリィの横脇をかすめると
 あっけなくゴールに突き刺さってしまった。

『ご……ゴォォォルッ!! アグリィ選手! フェイ選手の繰り出した強力なシュートに身動きがとれなかったのか!? ザ・デッド、テンマーズに先制点を奪われてしまいましたぁー!!』

 得点を知らすホイッスルの音とアルの声が響きわたる。
 空中に映し出された得点ボードに刻まれた、1-0の文字を見詰めるフェイの表情がだんだん険しくなっていく。

「フェイ」
「! アステリ……」

 名前を呼ばれ振り返ると、同じく険しい表情をしたアステリが立っていた。
 アステリは空中に映し出された得点ボードを一瞥すると不快感からか眉間に薄くシワを寄せ、ザ・デッドのゴールへと視線を移し口を開いた。

「さっきのシュート…………わざと、止めなかったんだよね…………あのキーパー……」
「あぁ……恐らく……」

 フェイの繰り出したシュートは文字通り誰にも阻まれる事無くゴールへと突き刺さった。
 あのキーパーはシュートを前に"わざと"ゴールを許したのだ。
 ふとポジションに戻っていくスキアと目が合う。
 スキアは二人の様子に気付くと、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、自らのポジションへと戻っていった。

「……今の表情…………最初からこちらに先制点を取らせるのは決ま
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