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色を無くしたこの世界で
第一章 ハジマリ
第24話 VSザ・デッド――試合開始
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話だが。

「君達にとって、ボク達は敵…………そんな相手に握手なんて……」
「あぁ……警戒していらっしゃるのですか」

 フェイの言葉にスキアは「なるほど」と納得した様に呟くと、閉じていた瞳を開きその大きな単眼にフェイの顔を映し出した。
 間近で見る獣の様な大きさの瞳に、フェイは思わず息を飲んだ。

「安心してください。今回のゲームはサッカーバトル……アナタ方に直接危害を加える様な事は致しません。この握手も『正々堂々戦いましょう』と言う気持ちの表れにございます」

 そう目を細め笑うスキアにフェイはしばらく差し出された左手を見詰めた後、ゆっくりと自らの左手をスキアに差し出した。

「…………ボク達は絶対に負けないから」
「はい。……楽しいゲームに致しましょう」

 睨みを効かせながらそう吐き捨てるフェイにスキアは目を細めそう唱えた。
 握手を終えポジションに戻るスキアを見詰めるフェイに、後ろにいたアステリが囁く。

「フェイ。アイツの言葉……信じない方が良いよ」

 「どうせ嘘だ」と続けるアステリにフェイも一つ頷いた。
 『左手での握手は敵意や挑発の現れ』……一般に知られている握手の常識。
 「楽しい試合にしよう」……そう唱えた時のスキアの表情を見る限り、彼はそれらの常識を知っていてわざと左手での握手を求めて来たのだろう。
 その行動は彼の口から発せられる様々な言葉とは反対に、フェイ達の事を明らかに嘲弄しているのが嫌でも分かった。
 ギュッと拳を握り絞め、力を籠める。

「負けてたまるか……」

 そう一人呟き、目の前の景色へと視線を投げた。

『両チーム、ポジションに着きました! テンマーズのキックオフで、試合開始ですっ!!』

 アルの声と共に、試合開始を告げるホイッスルの音が響き渡る。
 それと同時にフェイは背後のアステリにパスを出し、ザ・デッド陣内へと走り込んでいく。

『試合開始早々、テンマーズFWのフェイ選手がザ・デッド陣内へと斬り込んでいく!! それに続いて、ボールを持ったアステリ選手も前線へと上がって行きます!!』

「フェイっ!」

 そう叫び、アステリはゴール前まで上がっていたフェイにパスを出す。
 DFを振りきり、ゴールキーパーと一対一の状況。
 フェイは真っすぐにキーパーの姿を見据えると、キッと強く相手を睨み付けた。

「力の出し惜しみはしない。一気に行くよっ!」

 そう言い放つと、フェイはボールと共に飛び上がり全身に力を籠め始める。
 直後、フェイの背中から紫色のオーラが発動し、大きな兎の耳を持つ化身が姿を現した。

「光速闘士ロビンっ!!」

『フェイ選手! ゴール前にて化身を発動! そしてそのままシュート体勢だぁー!!』


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