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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十三話 少女たちの挑戦
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 様々な感情が溢れ出して、涙が止まらなかった。

 結局自分は、悪役にすらなれなかった。

 誰かを傷つけてでも目的を果たす存在――――悪役。

 母のためなら、それでも構わない。

 むしろそれになろうとすら思っていたのに、結局その母親からも切り捨てられた。

 その結果が――――今だ。

「っ……すけ、て」

 心の底で生まれた一つの感情が、言葉となって漏れる。

「たす、け……て」

 一度生まれた感情は堰を切ったかのように溢れて止まらず、そして――――、


「助けて――――黒鐘っ!!」


 心の底から救いを求め、叫んだ。
 
 二人の悲鳴が響く瞬間、しかし雷が直撃しないことに二人は気づいた。

 恐る恐る二人は目を開ける。

 そこには驚きの光景が広がっていた。 

 黒い人影は抜刀術の構えから目にも止まらぬ速度で引き抜くと、迫る雷を真っ二つに切り裂き、なのはとフェイトの横をすり抜けて海面に直撃し、爆発した。

 それは少年だった。

 銀の髪に黒いマントを羽織った、黒い刀を持つ少年。

 小伊坂 黒鐘。

 彼のデバイス/天黒羽から放たれた天流・第一翔/雷切により、文字通り雷を切り裂いたのだ。

 突然の襲撃が終わり、静寂が訪れた。

 呆気に囚われる彼女たちを他所に、彼は刀を鞘に収めてフェイトの方を振り向き、


「助けに来たよ、フェイト」
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