第四十話 神戸に帰ってその二十九
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「いい加減でお調子者で無遠慮で」
「いやいや、先輩にはいつもよくしてもらってます」
阿波野君は私の言葉をよそにお父さんとお母さんに言います、その笑顔を見ているだけで頭にきます。
「おみちのことを教えてもらったり」
「あら、もうお仕込みはじめてるのね」
お母さんは阿波野君の言葉を聞いてまた私を見ました。
「早いわね」
「先輩だからだな」
お父さんもこんな調子です。
「いいことだ」
「そうよね」
「いいことって何がよ」
私はまた言いました。
「何か変な感じだけれど」
「ははは、それがわかる様になれば千里もそれだけ成人したということだ」
「えっ、成人って」
「頑張れよ。しかし母さん」
ここでお父さんはお母さんに顔を向けて言ってきました。
「わし等はな」
「そうね、ちょっと行くところを思い出したから」
「そこに行こうか」
「そうしましょう」
「どういうこと?」
私は二人の態度が急に変わったのを見て尋ねました。
「一体」
「千里はそのまま散歩するといい」
「私達は席を外すから」
「ちょっと、何よそれって」
急に一人になれと言われて戸惑いますが。
お父さんとお母さんは行ってしまいました、そしてです。
私は一人になりました、と思ったら阿波野君が私ににこにことして言ってきました。
「この辺りの案内してくれますか?」
「何でそうなるのよ」
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよ」
何か本当に変なことになってきました、ですが。
阿波野君は朝の砂浜で私を見て今もにこにことしていました、私はむっとしてそうして彼を見ているだけでしたが何か嫌な予感がしていました。
第四十話 完
2017・1・1
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