巻ノ百 後藤又兵衛その七
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堺の外でも行われた、そこでは山の中でも激しい打ち合いになっていたが。
そこでだ、後藤は清海に激しい攻めを加えつつ野山を駆け回っていた、清海はその後藤についていきつつ言った。
「後藤殿は忍の術は」
「一応武芸は一通りしておるからな」
「だからですか」
「知らぬ訳ではない」
そうだというのだ。
「とはいっても御主達程ではないぞ」
「いえ、それは」
「違うか」
「見事なお動きです」
見ればその通りだった、大柄だが幸村にもひけを取っていない。忍としても天下随一である清海にも互角だ。
「武士の方とは思えぬまでに」
「ははは、武士であってもな」
「鍛錬を積めばですな」
「こうして動ける」
「忍の術を身に着けられる」
「そうなるな」
「忍術まで備えてですな」
そのうえでと言うのだった。
「こうして野山においても」
「御主達は野山で戦うことも多いな」
「忍故に」
「それが今役に立っておるわ」
清海は野山を激しく駆けつつ清海と戦の様に打ち合いつつ笑みを浮かべた。
「お陰で御主にも稽古をつけられる」
「そう言って頂けますか」
「うむ、この様にな」
「この時の為と言われますか」
「忍術も嫌いではない」
だがそれでもという言葉だった。
「武芸のうちだからな」
「そうでしたか」
「それなりに備えておる、しかしな」
「それなりですか」
「やはりわしは馬に乗って戦う者」
自分は何かとだ、後藤は清海に話した。
「それは真田殿も同じであるな」
「はい、それがしも忍術は極めていますが」
真田流のそれをだ、幸村もまた武芸十八般を極めている。しかし彼はその真田家の者即ち武士としても上にある者だ。
真田家の次男、だからだというのだ。
「やはりです」
「馬に乗って戦われるな」
「はい」
実際にというのだ。
「ですから」
「それ故にじゃな」
「こうして山の中で駆けることも好きですが」
「それでもじゃな」
「馬に乗って戦うのが第一です」
「そうじゃな」
「はい、しかし」
ここでだ、幸村は後藤に話した。
「我等は時によっては」
「馬を降りてじゃな」
「戦うこともあります」
「そうか」
「ですからその時に備えるべきかと」
「ふむ」
後藤は幸村の言葉を受けて考える顔になった、修行をしつつそのうえで言った。
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