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俺の涼風 ぼくと涼風
15. 二人だけの夜(2)
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「ぷっ」
「ん?」

 最後にゆきおは、目玉焼きととんかつソースのようなと言おうとしていたけれど、そのコンビは私は反対したい。だって、目玉焼きには塩コショウだと思ってるから。

「ゆきお……ぷぷっ……目玉焼きにとんかつソースだなんて……」
「えー……普通、目玉焼きにはとんかつソースかけるでしょ?」
「かけないよー。目玉焼きには塩コショウだって相場が決まってて……」
「えー……で、とんかつソースをかけた目玉焼きをご飯の上に乗せて……」
「ぇえー!? とんかつソースの目玉焼きをご飯の上に乗せるのか!?」
「そんなに……けふっ……びっくりすることかなぁ……」
「目玉焼きって言ったら、最初に黄身を突き崩して、そこにベーコン突っ込んだりハムつっこんだりするだろー?」
「しないよっ! とんかつソースをたっぷりまぶした目玉焼きを、ご飯に乗せて、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べるのが普通なのっ!」
「ちがうー! そんな風に食べたら、ただの卵ご飯じゃんかよー!!」
「ちーがーわーなーいー!! だいたい卵ご飯って、生卵と醤油で作るじゃないかっ!!」

 お互いに譲れない……けれど楽しくて、ずっと続けていたい争いが勃発した。ゆきおがとんかつソース派だとは思ってなかった。それも、それをご飯の上に乗せてかき混ぜて食べるという豪の者だとは思ってなかった……ゆきおは、もっとあっさりさっぱりした物が好みだと思っていた……勝手に。

「塩コショウっ!!」
「とんかつソースっ!!」
「……」
「……」
「「……ぷっ」」

 ひとしきり『塩コショウっ!!』『とんかつソースっ!!』と笑顔で互いに言い合った後、私達は吹き出した。さっきまであんなに真剣な話をしていたのに、今は目玉焼きに何をかけて食べるのか口ゲンカをしている……こんなに楽しい時間は、デートの時以来、久しぶりだ。やっぱりゆきおといると楽しい。

「……で、だから僕は、涼風のこと、嫌いになったりしない」
「うん」
「僕達は、名コンビだから」

 ゆきおの言いたいことは、よく伝わった。『私のことを拒絶しない・嫌いにならない』という、このままの私をそのまま受け入れるという、とても優しい決意も伝わった。

 ……充分だ。ゆきおは、私を受け入れてくれた。

 そして。

「……でもさ」
「ん?」
「確か……豆大福のこと『二人で一人』て言ってなかったっけ?」
「……ぁあそう言えば」
「じゃあ……」
「僕と涼風は、『二人で一人』ってことかな?」

 ゆきおは、自分と私のことを『名コンビ』だけでなく、『二人で一人』と言ってくれた。

 その言葉に、私の胸からフッと力が抜け、身体に心地よい安堵が広がっていった。途端に今までの疲労が、私の身体に心地よい気だるさとなって私の身体
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