15. 二人だけの夜(2)
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ここまで言った時、ゆきおの口は『僕といっしょだよ』と動いた気がしたが、その時のゆきおの声はとても小さかった。だから、本当にそう言ったのかは、私はよく分からない。
だけど、ゆきおが自分の言葉で精一杯、私を癒そうとしていることは分かった。
「……ホントかなぁ。みんな、あたいのこと、恨んでないかなぁ」
「恨んでなんかないよ。みんな、元気で明るい涼風のこと、大好きなんだって」
「そうかなぁ」
「……榛名さんは?」
? なぜここで榛名姉ちゃんの名前が出てくるんだろう?
「榛名さんは、自分のお姉さんが沈んだのに、涼風のこと恨んでないでしょ?」
――涼風ちゃん
「……うん」
「ずっと涼風のこと、心配してたでしょ?」
「うん……」
――また昔みたいに……仲良く、してくれますか?
「それといっしょだよ。みんな、涼風のことが大好きだから、命がけでかばったんだ」
「……」
「だからさ。『自分のせいだ』って思うのは、もうやめよう?」
「……」
「涼風をかばって沈んでいった人たちが、今の涼風にそう思われてるって知ったら……自分を殺したと思ってるって分かったら……とても……つらい」
「……」
――涼風ちゃんは大丈夫? なら……よかった……
不意に、私の耳に、五月雨の最期の言葉が聞こえた気がした。
胸に大穴が空いて、痛くて苦しくて仕方なかったはずの五月雨は、最期に私に笑顔を向けて、『よかった』と言いながら沈んでいった。私を無事守り通せる事が出来て、うれしかったのだろうか。
――すまん涼風……私は、ここまでだ……
那智さんは、そう言って沈んでいった。那智さんは、沈むのは本意ではなかったのかもしれないけれど、私に憎悪を向けることはせず、むしろ謝罪して沈んでいった。今にして思うと、厳しいけれどとても優しい那智さんは、自分が沈むことで、私が苦しむことを、一番心配していたのかもしれない。だから、那智さんは、最期に『すまない』と言っていたのかも知れない。
――ソーリーネ……涼風……
金剛さんも、那智さんと同じだったのかもしれない。あの鎮守府で、榛名姉ちゃんと同じく、ずっと私と仲良くしてくれていた金剛さん。彼女は、みんなの中で一番重症を負っていたけれど、ずっと笑顔を絶やさなかった。最期はとても辛そうな苦笑いたったけれど……それは、仲良くしていた私に心配をかけまいとした、金剛さんなりの、気遣いだったのかな……
――あぶな……
比叡さんは何も言うヒマもなく砕け散った。だけどその瞬間、確かに比叡さんは、私を三式弾から守ろうと、反射的に身体を動かしていた。金剛さんと同じく、ずっと私と仲良くしてくれていたからなのかもしれない……私が比叡さんの事を大好きだったように、比叡
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