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俺の涼風 ぼくと涼風
15. 二人だけの夜(2)
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私の手をギュッと握り、私をまっすぐに見つめ、そして、優しく、暖かな眼差しで、私のことを見つめ続けていた。

 話が終わり、私の身体が少しずつ冷え始めた。本当のことを……私がかつて仲間を殺したという過去を話したことで、大好きなゆきおに嫌われるのではないかという恐怖が私の身体を支配しはじめたようだ。私は身を縮こませ、寒さに耐え、恐怖に抗った。

「涼風?」
「……ゆきお」
「寒いの? 怖いの?」
「……うん」

 ゆきおが私に、寒いのか問いただす。声の調子はいつものように優しいが、それが私には怖くて仕方ない。次の瞬間、『仲間を殺したくせに?』と、私を拒絶したらどうしよう。受け止めてくれると信じているけど、そう言われるのが……距離が離れるのが辛い。

 そうして私が震えていたら、ゆきおの両手が、私の首に回され、冷えきった私の身体を包み込んだ。私は最初びっくりしたけれど、やがてゆきおの身体の温かさと優しさが心地良さに気付いた。

「……」
「……すずかぜ、つめたい」

 ポツリとゆきおがつぶやいた。震えるゆきおの両手に力が入り、身体がぴったりと私に寄り添ってくれる。

 私もまた、私を包み込んでくれるゆきおに、身体を委ねた。気がついた時、私たちは互いに抱きしめあっていた。

「ゆきおは、あったかい」
「ん……ちょっと、照れる……」
「ぷっ……」
「笑わないでよっ」
「ごめんごめん」

 ゆきおの胸から顔を上げ、ゆきおの顔を見上げた。相変わらずほっぺたがちょっと赤いけど、その顔は、微笑んでいる。

「すずかぜ?」
「ん?」
「怖かったね」
「うん」
「……辛かったね」
「うん……」

 私は再び、ゆきおの胸に頬を寄せた。トクントクンと、ちょっと弱いけれどとても優しい、ゆきおの音が聞こえてきた。

「涼風?」
「ん?」

 ゆきおが私の名前を呼ぶ声が、ゆきおの胸から私の心に響いてきた。

「僕はさ、頭良くないから、気が効いたことは言えない」
「……」
「だけど……沈んだ人たちはみんな、涼風のせいだなんて、思ってないと思うよ?」
「なんで? あたいのせいで沈んだんだぞ?」

 ゆきおの声は、一言一言、慎重に言葉を選んで紡ぎだされていた。少しでも私に届くように……少しでも、私を温められるように、ゆきおは、一言一言を選びぬき、私に優しく、言い聞かせるように口を開く。

「だってさ……みんな、涼風をかばってくれたんでしょ?」
「うん」
「みんな、笑顔だったんでしょ?」
「うん」
「たとえ命令でも、嫌いな人を命がけで助けたりなんかしない。憎んでる人に向ける顔が、笑顔だなんて信じられない」
「……」
「……みんなさ。涼風のことが大好きで、涼風を助けたくて、かばったんだよ」

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