15. 二人だけの夜(2)
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の時に下された残酷な命令……そして、その結果も。
――涼風ちゃんは大丈夫? なら……よかった……
「五月雨は、あたいをかばって、胸に大きな穴が空いて沈んだ。最期は笑ってた」
「……」
――すまん涼風……私は、ここまでだ……
「那智さんは、体中にたくさんの徹甲弾が突き刺さったけど、最後まであたいを守り通してくれて、最期には……沈んだ」
「……」
――ソーリーネ……涼風……
「金剛さんは、あたいの目の前で血を吐いたあと、申し訳無さそうに微笑みながら、沈んでいった」
「……」
――あぶな……
「比叡さんは、あたいを砲撃からかばった途端、身体が粉々に砕けた」
「……」
「みんな……みんな、あたいを守って沈んだ……」
「……」
ゆきおは、口を挟まず、ただ黙って、私の話を聞いていた。優しく柔らかい眼差しで私を見つめ、視線を私から外さず、私の手をギュッと握って、私の手を暖め続けてくれていた。
「……ごめんゆきお。あたいは……4人の仲間を殺した」
「……」
「自分と同じ白露型の五月雨……重巡の那智さん……榛名姉ちゃんの姉の金剛さんと比叡さん……みんな、あたいのせいで……ッ」
話していたら、再び目に涙が溜まってきて、息もしゃくりあげて、うまく呼吸が出来なくなった。私の目尻を伝って、ゆきおの枕に涙がポロポロと染みこんでいく。それでも構わず、私はゆきおに、今の私のすべてを伝えた。
「今も思い出すんだ……みんなが、血塗れで、笑顔で沈んでいった、あの時のことを夢に見て……」
「……」
「その度に、ひぐっ……みんなに……申し訳なくて……」
「……」
「そしてその度に、あの男のことを……あの男の冷たさと言葉を思い出して……そしたら、怖くて怖くて……身体が……震えて……動けなくなって、ひぐっ……」
「……」
そんな自分が情けなくて、沈んだみんなに申し訳なくて……
「今も……ゆきおとデートした日から、いつもいつもあの日のことを思い出して……」
「うん」
「怖くて眠れなくて……寒くて……とても寒くて……」
「うん」
「だからゆきおに……ひぐっ……会いたかった、けど……こんなこと、ゆきおに……大切なゆきおに、知られだぐ……ひぐっ……なぐで……」
「……」
「……ゆきおに……大好きなゆきおに、あたいが、仲間を殺しただなんで、知られたくなぐで……知られたら嫌われそうで……」
「……」
「ゆきおぉ……あったかいゆきおと、一緒にいたいよぉ……ッ!」
最後の方は、もう言葉にならなかった。私の目からは涙がぽろぽろとこぼれ、ゆきおのまくらをぐしゃぐしゃに濡らしていた。その涙は、私が目をぎゅっととじても、流れ続けた。
その間、ゆきおは私の話をじっと聞いてくれていた。
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