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俺の涼風 ぼくと涼風
15. 二人だけの夜(2)
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ていた。

「摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんから、なにか聞いてるか?」

 自分でも、間抜けな質問だなぁと思った。普通なら、こんな質問されても、『何が?』としか聞き返せないことだろう。だけどゆきおは違った。

「……聞いてみたけど、『本人に聞け』って。『ぼくになら、きっと話してくれるから』って」
「そっか」
「うん」

 この答えで、ゆきおが私のことをずっと心配してたのが分かった。やはりゆきおは優しい。私は、つないだゆきおの手を、改めて強く握った。

「……あたいさ、ずっとこの鎮守府にいたわけじゃないんだ」
「……」
「あたいは、西の方にある鎮守府から来たんだ。摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんもそう」
「そっか。だから二人で海に出た時、ちょっと様子がおかしかったのか」
「うん」

 再び、ドアの向こうから『ギシッ』という音が鳴った。また誰かがドアの前を歩いているようだ。私の身体が否応無しに反応し、途端に、いるはずのないノムラへの恐怖に身体が縮こまり、震えだした。

「涼風?」
「んっ……くっ……」

 ギュッと目を閉じて、ドアの向こうにいる誰かが去るのを待っていると……バサッという音とともに、私の身体がうっすらとした暗闇に包まれた。

「……へ?」

 何があったのかよく分からず、私は閉じていた目を恐る恐る開いた。私とゆきおは、布団の中にいた。二人で、布団の中で手を握り合い、互いに吐息が感じられるほど顔を近づけ、見つめ合っていた。

「……ゆきお?」
「こ、これで……こにいるのは、ぼ、僕達だけだっ」
「……」
「だ、だからもう、怖がらなくて、い、いいからっ」

 緊張してるのか何なのか、真っ赤になったゆきおのほっぺたが、布団の中でもよく分かる。私のほっぺたまで届くゆきおの吐息が温かい。

 二人で布団の中にいるせいか、身体がとても温かい。目を閉じると、まるで全身がゆきおに包まれているように感じる。それはきっと、布団の中に消毒薬の匂いが……ゆきおの香りが漂っているから。間違いない。私は今、ゆきおに包まれている。

「……」
「……」
「……ぷっ」
「わ、笑わないでよっ」

 しどろもどろになりながら、それでも私を気遣うゆきおが、なんだかとても可愛くて、とても愛おしい存在に思えた。そんなゆきおの姿を見て吹き出してしまうほど、私の全身はリラックスしていた。今、私を包み込んで安心させてくれている、ゆきおのおかげで。

「……あのさ、ゆきお」
「うん」
「あたいたちが前にいた鎮守府がさ……すごくひどいところだったんだ」
「そっか……」

 私は、ゆきおにすべてを告白した。私を偏執的に愛し、私以外のみんなと私を天秤にかけ、私を取ったノムラ提督……繰り広げられた、あの無謀な作戦……そ
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