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俺の涼風 ぼくと涼風
15. 二人だけの夜(2)
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ー……」
「ん、ん? なに!? ……ケフッ……」
「ゆきおも寝転ぼうぜ」

 そんなゆきおの優しさに、凍えた身体を温めて欲しい……私は、ゆきおにワガママを言った。

「え……あ、あの……」
「なんだよーあたいとは寝転びたくないってのかよー……」
「そ、そうじゃないけど……」

 ゆきおが目をぐるぐるさせて、私のワガママに振り回されてる様子は、なんだかとても新鮮だ。でも、早く一緒に寝転んで欲しい……私はそんな気持ちを込めて、掛け布団から頭の上半分だけを出して、ゆきおをジトッと見つめ続けた。

 やがて観念したらしいゆきおは、真っ赤な顔で『わかったよぅ』とだけつぶやくと、もぞもぞと布団の中に潜り込む。二人で、ゆきおの枕に頭を乗せる。ゆきおの顔が、温かな体温を感じるほどに近い。

「こ、これで文句ないでしょっ」
「……うんっ」

 ゆきおは、ちょっとへそを曲げたように口をとんがらせ、私からはそっぽを向いて、天井を見上げていた。ほっぺたが赤い。それが照れているからなのか、それとも布団の中が暖かいからなのかは、私にはよく分からなかった。

 布団の中で、ゆきおの手に触れた。さっきさすってくれた時よりも、とても温かい。

「ゆきお」
「ん?」
「手、握ってていい?」
「う、うん……」

 不意に、ドアの向こうから『ギシッ』という音が鳴った。誰かの足音のようだ。その途端、私の身体がビクッと波打ち、そのドアの向こうの誰かに対し過剰反応してしまう。布団の中のはずなのに、途端に身体が寒くなった。カタカタと震えだして、怖くて怖くて、再び目に涙が溜まってくる。

 でも。

「……だ、大丈夫っ」

 今は、ゆきおがそばにいてくれる。私の様子を見ていたゆきおが、布団の中で私の手を力強く握って、私の手を温めてくれる。

「この時間は、時々ああやって看護師さんが見まわってるんだ」
「……」
「だから、大丈夫っ」

 私を励ましてくれる、ゆきおの顔を見た。ゆきおは今、さらにほっぺたを赤くして、私から目をそらしているけれど、その眼差しはとても優しい。今、ノムラの恐怖に凍えている私を、ゆきおは必死に守ろうとしているようだった。

 こんなに身体が小さく細っこいゆきおが、私のことを必死に守ろうとしている。震える私を必死に勇気付け、凍える私を必死に温めようとしてくれている。

「……なぁ、ゆきお」
「ん?」

 ゆきおなら、話してもいいのかも知れない。この、とても華奢で弱々しいけれど、とても温かく、そして優しいゆきおなら、あの日のことを知ったとしても、私のことを嫌いになったり、私のことを遠ざけたりしないかもしれない。

 私の心に、少しずつ変化が起きていた。私はゆきおに、あの日のこと知ってほしいと思い始め
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