心中
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っちこそ……わがまま言っちゃって、ごめん」
「はいはい。解決したのはいいけど、実際そのデジタルドラッグを使ったプレイヤーはどうするの? 聞いた話じゃ、ショウキくんでも手こずって、倒しても……その、なんでしょう?」
髪をグシャグシャと掻いて頭を冷やしながら、意を決してリズの方を振り向いてみれば、次に視界に入ったのは呆れたような笑いだった。……今回もリズには、無理やり納得させてしまったと後悔するまでもなく、セブンが話をまとめようと拍手を打つ。言い分は分かったが、現実的にどうする気なのかと、こう見えて大人の世界に生きるセブンらしい真を突いた言葉に、俺は何も答えることは出来なかったが。
「デジタルドラッグの服用者は俺に考えがあるんだ。ショウキは、リーベについて考えてくれればいい」
「キリト……」
その返答は俺には思いもよらぬ場所から、頼りになると確信できる揺るがない言葉として、他ならぬキリトから響き渡る。人間離れした反応速度と伝達速度を与えられ、好戦的に仕上げられてリーベに従う、デジタルドラッグを服用したプレイヤーたち。もちろん相対する敵としても脅威的だが、それ以上に厄介なのはデジタルドラッグに仕組まれたペイン・アブソーバーだ。ダメージを現実的な痛みに変換するその機能は、本来ならばただのデメリットにすぎず、現にデジタルドラッグの服用者たちも苦痛に身動きを止めていた。
ただし今まで《SAO》で兄がどんな風に死んだか、『死』そのものを追いかけてきたというリーベが調整したそれは、こちらに『人間を殺した感覚』を再現させるというものだった。それは恐怖から殺人の記憶を自ら封じ込めた俺でさえ、その感覚から感じる気持ち悪さに戦闘を続行することが出来なくなるほどで、複数人を斬っていたらどうなっていたか――想像するも難しい。
「それで、ショウキは? さっき会ったばかりで言うのもなんだけど、生半可な手段で止まる相手とも思えないわ」
しかしてキリトが考えがある、などとまで言ってのけたのだ。それらデジタルドラッグの服用者はキリトに任せるとして、肝心のリーベに対してどうするか、という問いがリズがもたらされる。もちろんそれは彼女を止めるなどと大口を叩いた俺の仕事であるが、リズの言った通りに生半可な方法で止まるとも思えない。
ならば、俺が取るべき手段は。
「ああ。俺は――」
――そうして今日は、リーベの足取りも掴めず、また彼女たちから何をしてくるでもなく終わり。セブンはデジタルドラッグの解析からの解決の糸口を、リズはデジタルドラッグの影響を受けたシノンの見舞いに、キリトはデジタルドラッグの対抗策を実行に移すべく、明くる日にそれぞれ行動していった。さらに他のメンバーへの説明も、リズがシノンの見舞いの後に説明してくれるそうだ
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