心中
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ではないが、自然とそんな行動を取っていたことを自嘲しながら、そのバグのことを思い返す。そもそも、そこから俺はVR世界に関わることになったのだから。
――俺が《SAO》を始めた切っ掛けは、茅場晶彦からナーヴギアと《SAO》を送りつけられたことにある。しかしてそのデータにはソードスキルが使えない、というゲームの根幹を揺るがすほどのバグが意図的に仕組まれており、俺はソードスキルでなく自らが得てきた武術でデスゲームを生き抜くことを強要されてきた。その理由は、キリトが得ていたユニークスキルと同様に、茅場がアインクラッドに自らが予想もできない未知の要素を込めるため、と推測しているが……それは今は関係のない話だ。
とにかく、《SAO》のデータを引き継いでいる、今のアバターにもそのバグは適用されていることであるが、この《ALO》でそれはあまり困ることではなく。正直に言えば忘れてしまうこともあったが、今になってまた苦しめられるとは思いもよらず。そのデジタルドラッグを使っているプレイヤーのリストに、同様の波長が感じられる俺の名前も表示されている、ということは。
「俺の……いや、なんでもない」
――俺のアカウントも削除されるのか? などと、沈鬱な表情のセブンに聞きそうになった口を無理やり閉じる。セブンの仕事はあくまで調査した結果を運営に報告することであり、アカウント削除の決定権などあるはずもなく。よしんば口添え出来る立場にあったとしても、友人を一人だけ特別扱いしてほしいなどと、VRの専門家である彼女が言える訳もなく。
「……ねぇ、ショウキくん。一週間……ううん、三日でいいわ。あたしにそのデータを預けてくれれば、解析して――」
「……いや。そもそも、そんなバグを抱えてプレイしてた、俺の方がおかしいんだ」
それでも、それでも自分に出来るせめてものことを、と思ったのだろうが、そんなセブンからの申し出は悩むこともなく断った。ともに《SAO》を生き抜いたアバターと、その引き継いだステータスやスキルのために、このバグがあるデータを使ってきたが……改めて考えてみれば、わざわざバグがあるデータでプレイしている方がおかしいのだ。
「それに預けてる間、俺は《ALO》にログインは出来ないんだろう?」
「……うん」
そしてこちらの方が重要な話だが――そのデータをセブンに預けてしまえば、俺はリーベと相対することが出来なくなる……当然だ、この世界にログイン出来るアバターごとセブンに預ける必要があるのだから。セブンを信用していない訳ではないが、あのデスゲームを引き起こした男が直々に仕組んだバグを、わずか三日程度で解析できるとはとても思えず。そしてデータの解析がよしんば出来たとするならば、俺という枷がなくなったためにリーベたちデジタルドラッグ
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