きっかけだとか
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』という発言が、そもそも俺の告白を受け入れ、かつ楽しみにしているように聞こえるのだが。
なんの抵抗もせず、頬を赤らめて俺の隣に座る彩。
時間と、経験と、彩を知っている俺だからこそ、よくわかる。彩は今、どうしたいのか、どうなりたいかを俺と繋がっている手の温もりが教えてくれる。俺を捉える濁り一つないピンクの瞳が教えてくれる。
「なんだよ、嫌なら手を離せばいい」
「だって……こうして手を絡めとられたら離せないじゃない」
「そうしてきたのは彩ちーだろ?」
先に手を繋いだのは俺。でもこうして俺の隣に座って、手を絡めてきて、しまいには肩と肩がぶつかる距離まで接近してきたのは彩。こうして触れていると、恋愛のいろはすら疎い俺でも『恋愛っていいな』と思ってしまう。
「いつも私を支えてくれてありがとうね?アイドル……もっと頑張るから」
「良いのか?アイドルが恋愛なんてして」
「さ、先に言ってきたのは優菜君でしょ!?それに……」
何事もきっかけはある。
例えば、向田優菜と丸山彩が出会ったきっかけだとか。
例えば、彩がアイドルを始めることになったきっかけだとか。
例えば、彩が所属するパスパレがネットで叩かれていたきっかけだとか。
例えば、その危機を乗り越えることができたきっかけだとか。
……彩は、すぅっと小さく息を吸ってこう言う。
「私も……ゆ、優菜君の事が好き、なんだから」
……例えば、あがり症の彩が俺を好きになってくれたきっかけだとか。
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