きっかけだとか
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わせているのにグループ内の意思の対立だとか、仲良く見える反面の各々の思惑で七転八倒する日々を送り、それでも自分の信念を貫き通し、夢を叶え続けて今日まで頑張ってきた。
そんな頑張り屋な彼女、丸山彩を俺はとうの昔から好きになっていた。
好きにならざるを得なかった。
泣いて、悩んで、もがいて見つけた自分の目指すアイドル像。可愛くて、彼女の魅力的なところを誰よりも知っている俺は誰よりも彩を愛している自信がある。
──そんな俺の気持ちを『付き合ってくれ』という一言に凝縮したつもりなのだが、どうやら悲しいことにそれが伝わっていたかったもよう。
「なら、どうしたら付き合ってくれるんだいマイハニー」
「マイハニーって......というか──に、──なんだけど」
最後の方がもにょもにょと言うもので、聞き取れなかった。何か大切なことを言ったような気がするのだが、直後に口元を両手で隠してしまったので、聞けずじまい。
よく見れば、彩の耳は情熱的な赤に染まっていて、それがまた魅力的に見えてしまうから仕方ない。
「じゃあさ、俺とちょっと手を繋ごうよ」
「え?うん......あっ」
「どや?めっさあったかいだろ?」
彼女の手を握ると、無意識に血流が早くなる。
手汗で不快に思われないだろうか、そんな億劫はまったくの無意味で、彩は嫌がるどころか、俺の手の感触を味わうかのように強く握り返してくれる。
「好きな子に、こうして手を握り返してもらえるって嬉しいもんなんだな。初めて思ったわ」
「えっ。あのね?できればそういう事をさっきの告白で言って欲しかったなー」
「『付き合ってほしい』の一言に全て想いをのせたはずだが?」
「つーたーわーりーまーせーん!」
彩の屈託のない笑みがやっぱり可愛すぎて、見ているだけで胸が熱くて頭がどうにかなりそうで。頭の中のもう1人の優菜が『天使や!!ワイの目の前に大天使がおるで!!あーもっと触れたい抱きしめたいキスしたいいちゃいちゃしたいー!』と叫んでおられる。
しかし、もう1人の優菜の出番はまだない。
1度、荒ぶった感情を深呼吸で静めてからゆっくり、優しくその頃から小さな手を引く。
「あっ......」
「彩ちー、隣座って」
「付き合うっていってもね、私アイドルだよ?」
「パスパレボーカルの丸山彩には実は彼氏がいた!なんて報道されそうなギリギリのラインは、背徳感があって興奮しない?」
「えぇ〜、私は嫌だなぁ〜」
「なら、いっそテレビの前で宣言したら?」
「というか、もうすでに私と優菜くん付き合ってる話じゃん。私、付き合うなんてまだ言ってないんだけど」
『付き合うっていってもね、私アイドルだよ?
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