14. 二人だけの夜(1)
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える窓を揺らす風の音が、私の心をすり減らす。
でも、このままここにいては、私は凍え死んでしまう。あの男の恐怖に取り殺され、あの日の罪悪に潰されてしまう。私の心が勇気を振り絞り、震えて動かない身体に鞭打って、ゆきおの部屋へと足を向けさせた。
物陰が視界に入る度、私の心臓が悲鳴を上げた。風の音が聞こえる度、私の身体がビクリと過剰に波打った。何も音が聞こえなければ、ここにいるはずのないノムラの雰囲気を感じ、物音が聞こえれば、その音の鳴った方向にノムラの姿が見えた気がした。それでも、私は必死に足を動かし、一歩一歩、ゆきおの部屋へと歩を進めた。
今までとはまるで違う世界のようにも見える、ゆきおの部屋への道のりは、私の神経を過敏にさせた。桜の木の影からノムラがこちらを見つめているような気がした。そんなはずないと桜の木を凝視したとたん、桜の木そのものがノムラの姿に見え、心臓が鼓動を一瞬止めた。
「……ッ!?」
その直後、それがただの桜の木であることに気付く。心臓の鼓動が再開した。さっきまで止まっていたとは思えないほどバクンバクンと痛々しく鼓動を続ける私の心臓は、その音に反して、驚くほど少ない血液しか体中に送ってくれない。私の足が寒さと恐怖で歩を止めそうになる。
渾身の力を振り絞り、桜の木の下から上を見上げた。ゆきおの部屋の明かりは……付いている。ゆきおはまだ起きている。あと少しだ。あと少しで、ゆきおに会える。ほんの少しだけ勇気をもらえた私は、震える足をなんとか前に出し、再び歩き出した。
宿舎入り口をくぐり、受付のガラス扉にうつる自分の姿に恐怖を感じ、私はエレベーターの乗降口の前まで来た。行き先ボタンを押し、エレベーターが到着するのを待つ。
『チン』という音とともに、エレベーターの扉が開いた。『扉の向こう側にノムラがいたら……』と一瞬恐怖にかられたが、その向こう側には誰もいなかった。私はそのエレベーターに飛び乗り、三階のボタンを押した。扉が閉じ、エレベーターが動き出す。
上を見上げた。非常口なのだろうか。押せば外れそうな天井の蓋を見つけた。
――どこいくんだ……涼風ぇぇえええ!!!
その蓋がバタンと開き、今にもノムラが顔を出しそうで……あの、狂気を具現化したような笑顔で、私の前に現れそうで……
「早く……早く……!!」
恐怖に抗い寒さをこらえて、私は三階に到着するのを待つ。果てしないほど長く感じる数十秒の後、『チン』という音とともにエレベーターが止まった。ドアが開き、三階の廊下に出る。私の宿舎の廊下と同じく真っ暗だけど、一つの部屋の扉からだけは、明るい光がすきまから漏れていた。
「……ゆきお……!!」
私の足がふわっと軽くなった気がした。勢いのまま、だけど周囲に気
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