14. 二人だけの夜(1)
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、気の進まない朝食を食べることに専念することにした。
「おはようございます」
ゆきおのクマに気を取られている間に、榛名姉ちゃんが私たちのテーブルにやってきたようだ。お茶が入った湯呑を片手にやってきた榛名姉ちゃんは、ゆきおの隣に座り、私とゆきおの顔を交互に覗き込んでくる。クマが気になって仕方がない……といった感じだ。
「今日はクマ隠さなかったんですか?」
「うん。起きたのがついさっきでさ。腹減ったし、お化粧する前に来ようと思って」
「その割には全然お箸が進んでないみたいですけど……」
う……痛いところをついてきた……
「そんなことねーよッ! あまりに美味しいから、ゆっくり食べてるだけだって!」
「ならいいんですけど……」
つづけて榛名姉ちゃんは、ゆきおの顔も覗き込んでいる。『雪緒くんも気になるなら、榛名が隠しましょうか?』『いや、ぼ、ぼく男ですから……』と会話を続けている二人。私の隣で黙々とご飯を食べている摩耶姉ちゃんがちょっと不気味だ。いつもならみんなの中で一番騒がしいのに……。
榛名姉ちゃんにクマのことを追求され、それを冷や汗混じりにはぐらかしながらも、ゆきおは、時折私を心配そうにチラッと見る。そしてその度に、私はゆきおから顔を背けた。ゆきおと一緒にご飯を食べていられることはうれしいけれど、今、ゆきおに見つめられると、昔の、知られたくないあの日のことまで見透かされてしまいそうで……
「ご、ごちそうさまっ!」
「すずかぜ?」
ゆきおの心配そうな視線が耐えられない……私は朝食を中断し、自分の部屋に戻ることにした。箸を置き、お盆を持って、椅子からガタンと立ち上がる。
「全然食べてないですよ?」
「う、うん。なんか急にお腹いっぱいになって」
「?」
榛名姉ちゃんからの、相変わらずの無邪気で厳しい追求をなんとかかわした。仲直りが出来たことはとても嬉しいけれど、こういう時の榛名姉ちゃんは、空気を読まず問答無用で追求してくるから困る。
「すずかぜ?」
「ん?」
「大丈夫?」
「……だーいじょぶだって! 心配しすぎだゆきお!!」
「そお?」
「あたぼうよお!」
ゆきおも私に優しく声をかけてくれた。その柔らかい声が耳にとても優しくて温かくて、声を聞くだけで、涙がこぼれそうになる。今泣いたらダメだ。こらえろ。ゆきおに心配かけちゃダメだ。私はゆきおから顔を背け、顔を見られないように俯いてテーブルを離れた。
「……あんま無理すんなよ」
去り際、摩耶姉ちゃんのお茶を飲みながらの一言が、胸にグサリと刺さる。私は今テーブルに背中を向けてるから、3人がどんな顔で私を見送っているのか分からない。だけど、不思議と今、ゆきおが心配そうな眼差しで私の背中を見つめているこ
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