第二話
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を見せてくれたら信じれるかもな。」
俺は意地悪そうにそう言った。今思えば愚策にも程があったなと。神谷に対してそんなことを言ったらどうなるか分かったもんじゃ無いのに。
「言ったね?それじゃあ…………ほっと。」
神谷がそう言うと、神谷の手に湯呑みが現れた。それはもう、現れたという表現以外に言いようがない位、いきなり現れた。
そして、もうひとつ。
「あれっ?俺の湯呑み…………。」
俺がさっきから手に持っていた湯呑みがいつのまにか消えていた。よく見ると、神谷の持っている湯呑みはさっきまで俺が持っていたものだ。
さっきも言ったが、俺と神谷はテーブルを挟んで座っているため、神谷の手は届かない。俺に気付かれずに湯呑みをスル事なんてできないハズだ。
「…………何をした。」
最早これを説明しようと思ったら一つしかない。しかし、それは、まさしく超常現象。しかもそれを代表するようなものだ。
頼む、嘘だと言ってくれ…………!
「『瞬間移動』だね。『自分や相手やモノを一瞬で別の場所に移動させることができる』。よくあるやつだよ。」
俺の日常が音を立てて崩れた気がした。
「…………俺は『瞬間移動』の本物を見たことねぇからよくあるのかどうかも知らねぇよ。」
俺は半分自棄になってそう言った。あー、ちくしょう。とんでもねぇもんに絡まれちまったなー。
そんな感じで肩を落としている俺を見て、神谷は実に不思議そうにこちらを見ていた。
「ん?どうしたの?」
うーん、ここまで来ると最早狙ってるのでは無いか?そう思って俺は神谷の顔を改めて見た。
すげぇニヤニヤしてた。
正直、ハラワタ煮え繰りかえってたけど、ここで怒った所で窓からポイされるかもしれないから大人しくしておくことにした。
「…………いや、意外と神谷って可愛い顔してんだなって思っただけ。」
俺は茶化す様にそう言った。実際に、神谷は女子の中でもなかなか可愛い方だと思う。さぞかし中学時代はモテたのだろうなぁ。
「…………………(ボロボロ)。」
急に、神谷がボロボロ泣き出した。
それはもう、何の前触れもなく。
「へっ!?な、どうした!?」
俺はなんで神谷が泣き出したのか全く検討もつかない。怒らせるような事をいった覚えは無い。
「…………へ?な、泣いてなんかないし!」
と、神谷がこちらに顔を見せると、全くそんなことなんて無かったかのような笑顔を見せてきた。
………
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