暁 〜小説投稿サイト〜
俺の涼風 ぼくと涼風
13. 久しぶりの外出(2)
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、私の呼びかけに、満面の笑みで真っ白い歯を見せながら、返事をしてくれた。

「さっきは意味わかんなかったけど、ありがと!」

 そのお姉さんに、私はニシシと笑いながらお礼を言う。実際、あそこでお姉さんが私を制止してくれてなかったら、今頃どうなっていたことか……

 私のお礼を受け、お姉さんも私と同じく、ニシシと笑う。なんだか本当に摩耶姉ちゃんみたいだなぁ。そのままお姉さんはゆきおの方を見た。ゆきおもそれに気付き、お姉さんの方を見つめる。ゆきおのほっぺたはまだ赤い。

「素直でいい子じゃないか! あんた、男だろ?」
「うん」
「守ってやんな!」

 なんだか、ゆきおに一番似つかわしくないことを言われたような気が……どちらかというと、私がゆきおを守る方な気が……そう疑問に感じたが、

「……はいっ」

 その時、ほっぺたの赤みがさっとひいたゆきおは、まっすぐにお姉さんを見つめ、とても真剣な眼差しで、力強く頷いていた。なんだかその様子は、今まで見てきたゆきおの顔の中でも、特に凛々しく、そしてたくましかった。



 二人で今川焼きを半分こして楽しみながら、バス停までの道のりを歩く。さっきまであんなにもめていたけれど、今はもう、仲良く二人で今川焼きをわけあっている。

「んー……ゆきおー……」
「んー……なーにー……?」
「あんこもいいけど……カスタードもいいなぁ……んふー……」
「でしょ? んー……」

 歩きながら今川焼きを食べるという、とてもお行儀の悪いことをしながらバス停に向かう私達。実際、今川焼きはとても美味しい。あんこもカスタードも、気を抜くとこぼれ落ちるほど入っている。そしてその味も格別だ。

 そのあんことクリームを包む皮は皮で、甘さ控えめでパリパリと香ばしく、それがまたあんことカスタードの美味しさを引き立てる。

「んー……この、皮もいいな」
「だよねー……今川焼きは、あんことカスタードと……この皮のコンビネーションだよ」
「んー……」

 二人でほっぺたをもちもちにして、ほくほく顔で食べながら歩く。実際、この大判や焼きは絶品だ。あのお姉さんの人柄もあるかも知れない。

 そうやって私たちが今川焼きに舌鼓を打っていたら、

「……ん?」

 私と一緒にとことこと歩いていたゆきおが、その足を止めた。

「どした?」
「ん……」

 バス停に向かう道の途中には、年末の売り出しでにぎわう雑貨屋さんがあった。どうやらおもちゃも扱っているらしく、たくさんの子供連れのお客さんが、お店を出入りしている。お店の入り口には、サンタクロースの格好をしたお兄さんも立っていて、年末の忙しさを、眺める私達に如実に伝えていた。

 店の入口をしばらく見つめていたゆきおは、手に持って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ