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俺の涼風 ぼくと涼風
13. 久しぶりの外出(2)
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? その時って、どの時?

「なぁ姉ちゃん」
「おう」
「その時ってなんだ? あたい、よくわかんねーや」
「それが分かる頃には、この子もおじょうちゃんに、喜んでパンツ見せてるだろうよ」
「……う」

 さっぱり意味がわからない。でもゆきおは言葉の意味が分かったようで、お姉さんの言葉を聞いて、ますます恥ずかしそうにうつむき、パンツが入った紙袋を抱きしめ始めた。そのあと、俯いたままお姉さんのもとにトコトコと歩き、

「……あ、あの」
「はいよっ」
「……今川焼き、二つください」
「味は何にする?」
「あんこと……カスタード、一つずつ」
「あんがとっ」

 と、今川焼きを二つ、頭から湯気を出してうつむいたまま注文していた。私は意味がわからないまま、頭の中がはてなマークいっぱいの状態で、真っ赤っかな顔でうつむき、今川焼きを待っているゆきおの隣に向かう。

「おまっとさん。二つで200円だ。仲良く食べなー」

 私がゆきおの隣に来たのと、ゆきおがお姉さんから今川焼きの包みを受け取ったのは、同時だった。ゆきおは今川焼きのつつみ二つとパンツの紙袋を器用に左手だけで持ち、右手をポケットに突っ込んで、さっきのパンツのお釣りの中から200円をお姉さんに渡していた。

「はいちょうど。まいどー」

 ゆきおからお金を受け取ったお姉さんは、そのまま意味深な微笑みを浮かべて、奥に引っ込んでいった。

「……涼風」

 真っ赤な顔のゆきおが、私に今川焼きの包みを渡す。中には今川焼きが二つ。どっちがあんこでどっちがカスタードクリームなのかは、外見からじゃ分からない。

「ゆきお、どっちが食べたい?」

 こういう時は、ゆきおに選ばせるのが一番いい。私は二つの今川焼きをゆきおに見せたが、そこでゆきおは、真っ赤な顔でニコッと笑って、

「半分こしよ。カスタードもあんこも、どっちも食べたいから」

 と、とてもうれしい提案をしてくれた。なるほど。それなら、私もゆきおも、あんことカスタード、両方堪能できる。

「冴えてる!!」
「へへ……」

 私の称賛は、ゆきおに届いたようだ。相変わらずほっぺたは赤いけど、今のゆきおはとても穏やかに笑ってる。私も、さっきまでのゆきおのパンツへの衝動が、潮が引いたようにスッとなくなっていた。

「外で早く食べよ」
「うん」

 ゆきおが私の、今川焼きの包みを持ってない方の手を取り、てくてくと歩き出した。

「……あ、姉ちゃん!!」

 ここのフードコーナーは出入り口すぐそばにあって、建物の外側からでも注文を受け付けている。私はその外からの注文を受ける窓口を覗き込み、奥で腕を組んでこっちを笑顔で眺める、お姉さんに声をかけた。

「おうっ!」

 お姉さんは
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