13. 久しぶりの外出(2)
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きおは、へそを曲げたように口をとんがらせて、私に対してごきげんななめをアピールしている。
私も段々むかっ腹が立ってきた。ただパンツを見たいと言っただけで、なぜこうも非難されなきゃいけないんだ。だんだんイライラしてきた私は、今は私から離れた位置に立ち、物欲しそうにフードコーナーの今川焼きを眺めているゆきおに対し、声を荒げて怒鳴ってやった。
「やいやいゆきお!!」
「んー……いい匂い……ん?」
「黙って聞いてりゃーケツの穴の小さいこと言いやがって! いいじゃねーかパンツの一枚や二枚! ゆきおも男なら、あたいにパンツ見せやがれっ!!!」
言ってやった。ゆきおは細っこい首を上に伸ばして、ほっぺたを赤くして、目をぱちくりさせている。この私の迫力に押されているらしい。どうだゆきお。私だってたまにはこうやって怒ることもあるんだっ。
「え、えーと……涼風……」
「なんでいなんでい! パンツぐらい、あたいに見せてくれたっていいじゃねーかっ!」
「あ、あのー……」
「あたいはな! ゆきおのパンツが見てぇんだ!! ほら! さっさと見せるんだよっゆきおのパンツを!!」
ゆきおは、私の迫力に何も言い返せないようだ。満面の苦笑いを浮かべ、紙袋を抱えてない方の手でほっぺたをポリポリとかいて、困ったように冷や汗をかいている。くっくっくっ。このまま攻め立てれば、いずれゆきおも私にパンツを見せてくれるはずだ。よし。このまま……
「おじょうちゃん」
不意に、私のことを呼ぶ、ハスキーな女の人の声が聞こえた。
「ん?」
「タハハ……」
声が聞こえた方を見回す。ゆきおの背後……フードコーナーの中から、日焼けした小麦色の肌で長門さんのように体格のいい、真っ白の無地のTシャツを着て首にタオルをかけた女の人が、真っ白い歯を私に向け、ニヤリと笑っていた。
「……お、おう」
「お前さん、この子に『パンツを見せやがれ』ってーのは、いただけねぇなぁ。いただけねぇよ」
「なんで?」
「……周り、見てみな」
ハッとして、周囲を見回す。紳士服売り場での惨劇が、またここでも再び起こっていた。周囲にいる老若男女沢山の人たちが、私のことを見てクスクス笑っている。
「……あう」
ゆきおを見ると、やっぱり恥ずかしそうに俯いて、ほっぺたをぽりぽりとかいている。顔が真っ赤っかだ。多分、私も顔が赤い。顔から火が出るほど熱い。
私に声をかけたフードコーナーのお姉さんは、私とゆきおを交互に見て、そのあと私に再び話しかける。不思議とその眼差しは、摩耶姉ちゃんによく似ていた。
「おじょうちゃん、男のパンツ姿ってのぁーな。その時がこなきゃ、見れないもんだ。軽い気持ちで、見せろってワガママいうもんじゃねぇ」
? その時
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