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俺の涼風 ぼくと涼風
13. 久しぶりの外出(2)
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ってもいいと思うんだけど……。

「他の柄は買わないのか?」
「いいよ。父さんもこれで文句ないはずだから」

 うーん……どうにも面白くない。私の視界のすみに、ケツの部分に時代劇でよく見る家紋が入った、赤地の派手なパンツが目に入った。

 私はそのパンツの元まで走り、それを持ってゆきおの前まで戻ってきた。このパンツ、手にとってみると、よく伸び縮みする生地でさわり心地がいい。家紋は私もよく知ってる……なんだっけ……若い人たちを引き連れたおじいちゃんの時代劇で見た、印籠に描かれてるのと同じ家紋だった。

「ゆきおー。これは?」
「それはダメ。ボクサーパンツって言ってさ。父さんは嫌いなんだよ」
「ふーん……」
「僕はいつもこのボクサーパンツなんだけどね」
「んじゃ、ゆきおがこれ履いたらいいんじゃねーの?」
「僕のは買わなくていいのっ!!」

 私の意見は根本から否定か……それにしても、男のパンツってのもけっこう色々とあるものだ。なんだかちょっとおもしろい。

「ゆきおー」
「ん?」
「履いてるパンツ見せて」
「ぇぇえええエエ!?」

 紳士服売り場の下着コーナーの一角で、ゆきおの、絹を割いたかのような悲鳴が響いた。

「ちょ! ゆきお!! 声大きいっ!!」
「い、いやでも!! セクハラだよッ!!」

 慌てて周囲を見回す。幾人かのお客さんや店員さんが私たちの方を見て、くすくすと笑っていた。

「うう……」
「う……ああ……」

 は、恥ずかしい……こんなことで注目なんて浴びたくない……私達は三枚プラス一枚のパンツを握りしめたまま、レジへと急ぎ、大慌てでお会計を済ませた。

 急いでエスカレーターを降り、一階のフーとコーナー前に到着した時、フと気付く。

「……涼風」
「……ん?」
「買っちゃったよね。ボクサーパンツ」
「お、おお」

 ゆきおの手にある紙袋を、恐る恐る覗く私達。紙袋の中には、水色のストライプのパンツが三枚と、真っ赤で伸び縮みしやすいタイプの、葵の御門が入った、真っ赤なボクサーパンツが、一枚入っている。

 二人で相談した結果、これはもうこのまま持って帰ろうという結論に達した。本当は返金してもらいに行くのが一番いいんだが、たくさんの人にくすくす笑われてしまったあの空間に、私はもちろん、ゆきおも戻りたくないらしい。

 幸いなことに、お金はけっこう余裕がある。ならば、これは私たちから提督へのプレゼントとして渡してしまおうというのが、ゆきおの作戦だった。そして、私もそれに賛成した

「ったく……僕のパンツ見せてなんていうから……」
「だって……見たかったんだもん……」
「それがセクハラだよ……」

 そう言って、赤いボクサーパンツが入った紙袋を抱えるゆ
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