純粋な心の青少年と汚れた大人達の物語
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が、神の鉄槌を下されるだろう。権力に振り回される小物では、リュカさんのように神々を平伏させる事は出来ませんからね」
「ほほう……随分と自身があるようだが、リュカも同じ考えなのかな? 件の新兵器を一度見せて貰って、直接リュカに真意を確かめたいのだがな」
「はっはっはっ。ルドマン殿はアサルトライフルの性能を存じないから、我が王が交渉に応じると思えるのです。実物を一度でもご覧になったら、交渉する気も失せる事でしょう」
「逆ではないのかな? それ程の威力を誇るのであれば、良い金儲けだと私が考える……そうは思いませぬのか?」
「完成した新兵器が究極形だと思ってた頃は私もルドマン殿と同じ事を考えたでしょうが、悪しき者の手に新兵器が渡れば、更なる進化も有り得ると陛下に教えられ、思い改める事が出来ました」
「ほう……更なる進化があると聞いては、余計に知りたくなりますなぁ」
「製造方法等は決して教えられませんが、世界中に新兵器の威力を知らしめる為に、ルドマン殿たち商人等には知っていて欲しいです。ですから後日グランバニアに視察されては如何ですかな? その時に我が主を説得出来れば、私にリベートを払わずにもう一財産築けるでしょう」
「なるほど……ではその様に計らって戴けますかな、宰相殿?」
「陛下への説得以外の手はずは私が承りましょう」
こ、こわい……
何、この人達?
凄く悪い事を話し合ってるようにしか見えないんですけど!
いや、実際悪い事だよね?
あの兵器は絶対に世の中へ広めちゃダメな物だと思う。
でも商人のルドマンさんは、凄い金儲けの事柄だと考え、是が非でも武器を欲しがってる。
ウルフ君はウルフ君で、世界中にグランバニアの強さを強調したくて、父さんの意にそぐわない段取りを取っちゃってる。
父さんは大丈夫だよね?
あの兵器をルドマンさんにとは言え売ったりしないよね?
でも勝手に交渉の場を作ったりしたら、絶対に怒るだろうなぁ……
ウルフ君はそれを計算に入れてルドマンさんと打ち合わせしてるのかな?
僕は何も聞かなかった事にして、グランバニアに帰ったら口を噤もう。
こう言う悪巧みはウルフ君に任せるに限るからね。
そうと決まったら、こんな暗黒空間から逃げ出して、可愛い娘とステキな時間を楽しもう。
僕は気配を殺して、ルドマンさんの書斎から出て行こうとした。
でも気配は消せても姿は消せないから、二人に直ぐバレて……
「もう行きますかティミーさん?」
とウルフ君に聞かれちゃった。
「う、うん……君等のお話も終わった様なので」
終わったかどうかは判らないけど、逃げ出す口実は欲しい。
「そうですね、俺等の密談も終わりましたし、サッサと我が家に帰りましょう」
あぁ終わってたの……本当
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