第三十二話
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「あぁ?喧嘩売っといて何言っとんなぁ!?」
いや、だから売ったのはそっちでは…………。
確かにさっき木曾が言った通り、『どーしょうもねぇ奴』だった。
「そんじゃま、ちょっとこいや。テメェらはそこで待ってな。あー、念のの為お前はこい。」
木曾は俺を引き連れて商店街の路地裏に入っていった。あー、完全にキレてるわ。
俺は心のなかでにーちゃん達に手を合わせた。
―三分後―
「ただいまー。さ、次行くぞ。」
路地裏から戻ってきた俺らは店の前で待ってた春雨達に声を掛けた。
にーちゃん達は荷物を持ったままの木曾にけちょんけちょんにやられてた。ちなみに、先に相手に一発軽いのを貰ってからなので、正当防衛だと言うのが木曾の言い分。
遠巻きに見てた俺から言わせれば、明らかに過剰防衛だ。むしろにーちゃん達死んでんじゃね?
「全く、たまには俺にもさせてくれよ。いっつも木曾がやるから楽しくねーじゃん。」
と言ったのは天龍。私服の天龍ってのを俺は始めてみたが(他の奴らは鎮守府で何回か見た。可愛いは正義って言葉の意味が初めて分かった。)、あの角みてぇなのは付けねぇのな。
「うーん、僕はそこまで怖くなかったからね。むしろ必死になって誘ってるあの子達が可愛くてしかも哀れに見えたよ。」
時雨は時雨でとんでもないことを言ってた。どう考えてもドky…………ゲフンゲフン。
「っぽい?なにかあったっぽい?」
夕立に至ってはたい焼きに夢中になってたのか、一連の騒動に気付いてなかった模様。犬かよ。
「皆逞しいなぁ…………。」
この中の女の子の中での唯一まともな春雨は呆気に取られていた。普通はこーゆー反応だ。
「せっかくの楽しいお出かけを邪魔されてたまるかってんだ。ほれ、次はどこ行くんだっけか?」
木曾はそう言いながら歩き始めた。
…………あれ。
木曾が俺の隣を通りすぎたとき、なぜか木曾の耳が赤くなっていることに気づいた。
…………さっきの喧嘩で耳になんか食らってたっけ…………?
「おーい?置いてっちまうぞー?」
俺のそんな思考回路は、先に行ってた天龍の声で掻き消された。
「おう、すぐ行く!」
俺は大量の荷物を抱えながら歩き始めた。
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