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俺の涼風 ぼくと涼風
12. 久しぶりの外出(1)
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熱くなってきた。改めてゆきおを見ると、やっぱり恥ずかしそうに俯いていた。……と思ったら、恐る恐る顔を上げ、私の方をすがるような眼差しで見つめ始めた。これは……

「で、デート……みたいな、もの……かな?」

 口を尖らせたゆきおが、ぽそりとそう言った。私の顔がボンっと音を立て、一気に真っ赤っかに染まる。顔が熱い。自分の顔に血が集まってるのが、自分でも良く分かる。

 一方のゆきおも同じく、さらに真っ赤っかになった顔を私からぷいっと背け、そっぽを向いた。やめてゆきお……そんな反応されたら、ますます恥ずかしい……。

「……あー、オホン」

 大げさでわざとらしい、提督の咳払いが執務室に鳴り響いた。

「あー……まぁ、そういうわけでよろしく頼む。金はあとで雪緒に渡す。寄り道してきていいから」
「う、うん……」
「わ、分かった……」
「遊んでくるのは構わんけど、パンツだけは忘れないようにしてくれ」
「お、おう……」
「……父さん、いつものでいい?」
「おう。いい感じのトランクスを頼むぞ雪緒」
「うん」

 真剣な眼差しの提督の口から、『パンツ』という単語が出てきたことに対する違和感は、ここでは何の意味も持たなかった。

「……んじゃ涼風」
「お、おう」
「僕は準備があるから、一旦解散で……いいかな」
「う、うん……」
「んじゃ、10分後に、僕の宿舎の前の桜の木に集合で……」
「わ、わかった……」

 それよりも、目の前にいる、顔が真っ赤っかになってるゆきおと、二人で市街地に行くという前代未聞の事態で、私は頭が一杯になっていた。

「ニッシッシ……まぁがんばって任務達成してきな。二人っきりでな」

 左隣の摩耶姉ちゃんは、ニッタニタのいやらしい笑顔を私に向けていたが、言い返す余裕もない。なんせ私とゆきおは今、ゆだった頭のてっぺんから、湯気を出すのに精一杯だったから。



 その後『お前には別のことを頼みたい』と提督から言われていた摩耶姉ちゃんを執務室に残し、私とゆきおは自分の部屋に戻った。

「何……着て行こう……」

 部屋に戻って、改めて事態の重大さに気付く。いつの日か、ゆきおと市街地で遊べたらと考えたことはあったけど、まさかそれが今日になるなんて……心の準備がまったくできてない……自分の部屋のクローゼットを開ける。自分が持ってる服の中で、カワイイ物なんて一つもない。

「うう……どうしよう……」

 困った……背格好が似てる五月雨に、何かカワイイ服を貸してもらおうかと思ったが、五月雨は今遠征中だったことを思い出した。

 鏡の前で、目の下にクマができてないかどうか確認してみる。昨日の夜はちゃんと眠れたから、クマはできてないようだ。だけど。

「……あ、お化粧…
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