12. 久しぶりの外出(1)
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かけ、勢い良くひねる。ノックを忘れてしまったが、それはまぁいい。私はそのままの勢いで、執務室のドアを勢い良く開いた。
「バカやめろッ!!」
途端に室内から響く提督の悲鳴。私もドアを開いたその瞬間に思い出したが、事態は、思い出した時にはもう遅い。
「あ……」
私のパワーで勢いよく開かれてしまったドアは、あっさりと白旗を上げてしまったようだ。『バキン』と音を立てて蝶番が外れ、壁からドアが外れてしまった。
「提督……ニシシ……ごめん」
「このアホ……」
開いた……いや、壊れたドアの向こう側にいる、机の前の提督は、私と、外れたドアの惨劇を見て、いつかのように頭を抱え、頭上にモジャモジャ線を描いていた。申し訳ないとも思ったが、あとで提督が直すだろうし、まぁいいか。
外れてしまったドアを壁にたてかけ、私と摩耶姉ちゃん、そしてゆきおは提督の机の前に並ぶ。自分が思っていた以上に、入り口が開きっぱなしというのは気になる。外の冷たい空気が入ってきて寒いし。
「んで、提督。あたいたちを呼んだ理由は?」
ドアの話もそこそこに、私は早速主題に入る。一枚の紙を机の引き出しから取り出し、それを私達に見せた。
「ん? これ、見てもいいのか?」
「いいよ」
渡された書類に目を通す。右隣のゆきおも『僕も……』といい、私が持っている書類を覗き込んだ。消毒液の香りがフッとただよい、なぜだか胸がドキンとするが、そこは悟られないように……
「涼風。ニヤニヤ」
「んー? 摩耶姉ちゃん? どうかしたか?」
「なんでもねーよ。ニヤニヤ」
私は今この瞬間ほど、摩耶姉ちゃんのことを張り倒したいと思ったことはなかった。
提督から渡された書類は、外出許可証だった。これは、私たちが鎮守府の外に出る用事があるときに、提督から発行してもらう書類だ。何か外に出る用事……例えば市街地に買い物に行く時なんかに、事前に提督に申請して、この書類をもらう必要がある。
でも、私は外出許可申請なんか申請した覚えはない。それに……
「……僕の名前もある」
「だな」
申請者の名前の項目には、私の名前だけでなく、ゆきおの名前『北条雪緒』もあった。
「父さん、これ……」
「ああ。実はだな。お前と涼風に、ちょっと市街地まで買い物に行ってきて欲しいんだよ」
「買い物?」
「ああ」
提督は頭に被った帽子を脱ぎ、大げさに自分の髪の毛を前からなでつけた。その様子は、妙な威厳というか……必要以上な厳かさが感じられる。
なんだか無駄に威圧感を発揮している提督いわく……提督は、酒保に常備されてない、ある品物を購入してきて欲しいらしい。それも、私とゆきおの二人に。
「それだったら、あたい一人でも行っ
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