640部分:第四十九話 馬岱、真名を言うのことその十一
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第四十九話 馬岱、真名を言うのことその十一
「それではですね」
「はい。それじゃあ」
「是非お呼び下さい」
これが魏延の返答だった。
「それは」
「そうですね。それじゃあ私の方も」
「桃香様とお呼びしていいのですね」
「はい、お願いします」
「信じられません」
今の魏延はまさに天にも昇らんばかりであった。
「私が。こうして」
「そうね。それはよかったじゃない」
馬岱もここで魏延に言う。
「桃香さんに真名を呼んでもらってね」
「そうじゃな。それでじゃが」
ここでまた出て来る厳顔だった。
「そなた達もじゃな」
「そなた達というと」
「私達ですか?」
「そうじゃ。仲間なのじゃ」
穏やかな笑みで二人に話すのであった。
「もうよいじゃろ。真名で呼び合え」
「しかしそれは」
「だって。あれですよ」
二人は厳顔の今の言葉には難色を示す。
「私達は」
「こいつとは」
「互いに助け合ったではないか」
しかし厳顔はまだ二人に言う。
「それではじゃ。そうせよ」
「左様ですか」
「どうしてもですね」
「反論は許さん」
厳顔の言葉が強いものになった。
「わかりました」
「それなら」
「では言い合ってみよ」
早速であった。
「よいな」
「は、はい」
「それなら」
二人はそれぞれ顔を顰めさせながらだ。こう呼び合うのだった。
「蒲公英だったな」
「焔耶よね」
「そうだ」
「そうよ」
こう言い合うのであった。
「ではだ。これからはだ」
「真名で呼び合うのね」
「そうせよ。蒲公英よ」
ここで厳顔は馬岱に顔を向けて放す。
「そなたもわかっておる筈じゃ」
「わかっているって何がですか?」
「焔耶のことじゃ」
他ならぬ彼女のことをだというのだ。
「この者は桃香殿に対して絶対の忠誠を誓っておる」
「それはそうですけれど」
「それは本物じゃ」
「はい、わかってます」
馬岱も不承不承ながら頷く。
「それは」
「そういうことじゃ。だからよいな」
「桔梗さんがそこまで仰るのなら」
「そなたもじゃ」
厳顔は魏延に対しても話すのを忘れない。
「わかっておるな」
「はい・・・・・・・」
魏延は渋々ながらも頷いた。
「蒲公英はわるいものではないな」
「それはその通りです」
「ではじゃ。よいな」
「はい、わかりました」
そうして頷いてであった。二人はまた向かい合って話す。
「それではな」
「こっちこそね」
「何かまだ違和感滅茶苦茶あるな」
馬超がそんな二人を見てぼやく。
「大丈夫かね、本当に」
「ふふふ、あれ位でいいのだ」
しかし趙雲は余裕の笑みである。
「かえってな」
「そういうものか?」
「まあ御主はあれだ
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