ペルソナ3
1793話
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危険、危険、危険。
タルタロスの階段を上がった次の瞬間、念動力がその危険を俺に伝えてくる。
基本的に念動力は、俺の身に危険が及びそうになった時、初めてその危険を伝える。
逆に言えば、俺の身にとって危険でなければ念動力が危険を教える事はない。
例えば、今まで戦ってきたシャドウ。
ゆかりにとってはそれなりに強敵だったが、俺にとっては雑魚でしかない。
そのようなシャドウを相手にしている時、何らかの理由で攻撃を食らいそうになっても、念動力が危険を教える事はないのだ。
「ゆかりっ!」
「え? ちょっ、何!?」
階段を上がったと思った瞬間、いきなり俺の口から出た鋭い声に、ゆかりは混乱したように問い返す。
もしこれがレモン達であれば……いや、シャドウミラーのメンバーであれば、俺の持つ念動力がどのような効果を持つのかというの分かっている以上、即座に周囲を警戒するだろう。
だが、ゆかりと俺はまだ知り合ってからそれ程時間が経っておらず、またゆかりも俺の念動力が具体的にどのような効果を持っているのかというのは分かっていない。
だからこそ、戸惑ってしまったのだろうが……今は、その戸惑いが大きな隙となってしまう。
「ちぃっ!」
咄嗟に腕を大きく振るい、白炎による壁を作る。
瞬間、飛んできた何かが、白炎によって消滅……いや、燃滅させられたのを理解する。
「きゃあっ!」
白炎の壁にか、それとも突然の攻撃にか、ゆかりが悲鳴を上げる声が聞こえてくるが……今はそれに構っていられるような状況ではない。
そもそも、念動力が危険を知らせてくるという事は、その危険は明確に俺を傷つける事が出来る相手なのだから。
俺がゆかりの前に出るのと、白炎の壁が消えるのは同時だった。
いや、正確には俺がゆかりの前に出てきたから白炎の壁を消したと表現するのが正しい。
そして、白炎の壁が消えた後……そこに姿を現したのは、1匹のシャドウ。……いや、シャドウなのか?
このタルタロスで出てきた以上、シャドウなのは間違いないと思うが……どちらかと言えば、シャドウというよりは亡霊とか死神と呼ぶのが相応しいような存在だった。
左右両方の手に持っているのは、いわゆるリボルバーと呼ばれる種類の拳銃。
……ただし、銃身が冗談のように長く、大袈裟でも何でもなく1m以上あるのではないだろうか。
また、身体には鎖が巻かれており、身体を揺らす度にその鎖が音を立てている。
その鎖の下にはコートのような物を身につけているが、そこから足は伸びていない。
顔は白い仮面を被っているが、その白い仮面も頭部の辺りが幾らが壊れ、眼球がむき出しになって、シャドウの不気味さをより一掃際立たせている。
敵……そう、敵だ。
それも今まで戦
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