11. お化粧ならあのひと(2)
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でも優しくて、誰よりも頼りになる、将来の改白露型駆逐艦のゆきおと、仲良くなることが出来てよかった。私の心に、その喜びと感謝が、じんわりと広がっていった。
……でもここで、疑問がさらにひとつ生まれた。私は、今も私の顔を見つめ続け、私と目が合うと途端に目線を私から逸らしてほっぺたを赤く染める、目の前にいる大切なゆきおに、その疑問をぶつけてみた。
「でもさゆきお」
「ん?」
ゆきおは私から顔をそらして、向かって右上の方に顔を向けながら、私の問いに答える。
「ゆきおさ。なんであたいを見て、あたいと榛名姉ちゃんが仲直りできたってわかったんだ?」
なぜ私が何も聞いてない段階で、私と榛名姉ちゃんが仲直りできたと分かったんだろう。
さっきからほんのりと赤かったゆきおのほっぺたが、さらに赤くなってきた。途端に目が泳ぎ始め、ゆきおの目がぐるぐると回り始める。こんなにうろたえるゆきおも珍しい。
「え、えと……」
「それにさ。あたいがこの部屋に入った時、ゆきお、あたいの顔をぽけーって眺めてたろ?」
「う、うう……」
「なんで?」
私は何もおかしなことは言ってないはずなのだが……なぜだろう? いつもなら、甘いものを前にした時以外はめったに取り乱さないゆきおが、今は目をぐるぐると回し、顔中から冷や汗を流して、両手をわちゃわちゃと動かして、とても取り乱しているように見えるけど……。
「え、えーと……あのー……」
「うん」
「そ、そのー……く、クマが、消えてた……から?」
「それだけ?」
「う、うん」
どう考えてもそれだけじゃないだろうと思いつつ、私はキャスターの方に視線を移した。キャスターの上には、お昼にゆきおが飲んでいた、ピーマン以上に苦い粉薬の包みが、二つ置いてあった。
「ほんとに?」
「ホ、ほんとだよっ! 信じてよ!!」
これから苦い薬を飲まなければならないから、今は恐怖と不安でこんなに取り乱しているのかな? でもほっぺた赤いしな……そんなことを考えつつも、私は、今も顔を真っ赤にして狼狽え続ける、ゆきおを追求し続けた。
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