11. お化粧ならあのひと(2)
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…ところで、まだ解決してない問題がある。
「なー。ゆきお」
「ん?」
「ゆきおはさ。なんであんなに榛名姉ちゃんをおすすめしてくれたんだ?」
「んー……」
そうだ。最終的にそれが功を奏したわけだが、いつも静かなゆきおにしては、榛名姉ちゃんに関してはとても強情で強引だった。そのことだけが、妙に気になっていた。
私の問いに対し、ゆきおのほっぺたの赤みがすっと引いた。言おうか言うまいか迷っているように口をもごもごと動かした後、とてもやわらかな眼差しで、私の目を見て、ゆきおはポツリと、こう言った。
「……榛名さんね。ここに時々顔を見せてたんだよ」
ゆきおが言うには、私がゆきおと仲良くなった頃から、実は榛名姉ちゃんは、よくゆきおの部屋に顔を出していたそうだ。
「そうだったのか……」
「それでね。よく涼風の話をしてた」
なんでも、
――この前は、涼風ちゃんを助けてくれてありがとうございました
――最近涼風ちゃんが明るいのも、雪緒くんのおかげです
とこんな具合に、最近明るくなった私のことを、とても嬉しそうに話していたんだとか。
「でさ。よく涼風の話をするから、『仲いいんですね』って言ったら……」
――そんなことないです。
榛名は、涼風ちゃんにずっと、ひどいことを言ってますから……
「って言ってたから、何かあるんだろうって思って」
「そっか……」
それでお昼にお化粧の話が出たから、榛名姉ちゃんの話を私に振ってみたところ、私の様子もなんだかおかしい……だから二人が話ができるよう、榛名姉ちゃんを大プッシュした。事の真相は、こうだったそうだ。
「そっか……それで榛名姉ちゃんを……」
「うん。どうなることかと思ったけど、涼風を見て、仲直りできたんだなって思ったよ」
私はうつむき、目に涙が溜まるのをゆきおにさとられぬよう、必死に隠した。ゆきおは、恐怖で戦えなくなっていた私だけでなく、榛名姉ちゃんも助けてくれた。仲直り出来なくて苦しんでいた私たちを仲直りさせてくれて、またあの時のような仲良しに戻してくれた。
「ありがとな。ゆきお」
「んーん。僕は何も。お礼ならさ。お化粧を教えてくれた榛名さんにいいなよ」
「榛名姉ちゃんにはもう言った。だから、ゆきおにも言わなきゃ。ありがと」
ゆきお。本当にありがとう。ゆきおは、いつも私の力になってくれる。怖くて震えていたら、カーディガンを貸して身体を温めてくれる。困っていたら、手を差し伸べて力になってくれる。私の中で、ゆきおの存在が少しずつ大きく、そして欠けてはいけない存在になりつつあることが分かった。ゆきおは、私にとって、無くてはならない友達だ。
ゆきおと友達になってよかった。この小さくて細っこい……
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