11. お化粧ならあのひと(2)
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とが出来た。私たちが二人で楽しく、今日の献立のクリームシチューに舌鼓を打っているところに、夜通しで出撃していた摩耶姉ちゃんが戻ってきた。
「ういーす……やっと飯食える……はらへ……ぉお!?」
「摩耶姉ちゃんおかえりー!!」
「摩耶さん、おかえりなさい」
私と榛名姉ちゃんが同じテーブルで、楽しくクリームシチューを食べているのを見た摩耶姉ちゃんは、まず開口一番、口をあんぐりと開け、パクパクさせながら目を見開き、そして私たち二人を交互に見比べていた。
「お前ら……!?」
「今日さ。仲直りしたんだ!」
「ま、まじで?」
「はい。ね。涼風ちゃん?」
「なー。榛名姉ちゃん!」
そんなわたしたちの上機嫌の報告を聞いた摩耶姉ちゃんは、最初こそ口をパクパクさせて聞いていたけど……
「……」
「? 摩耶姉ちゃん?」
「どうかしました?」
「んー……」
次第にうつむき、身体をプルプル震わせはじめた。両手をギュッと握りしめ、私たちが心配になり始めたその時、
「……そっか! お前ら!! やっと仲直りしたんだな! アタシもうれしいぞ!!!」
と顔を上げ、満面の笑みを浮かべていた。気のせいが、左目にほんの少しだけ、涙が滲んでいた。
「よかったなぁぁああ!! 涼風ぇぇええええ!!!」
「いだだだだ!!! 摩耶姉ちゃんいだいいだい!!!」
その後は、満面の笑みのまま私の頭をガッシと掴み、痛いぐらいの力で思いっきり頭をわっしゃわっしゃとなでてくれた。
「……榛名も、ありがとな」
「……いや。榛名は……ほんとに……」
「いや、いいじゃんか! お前ら二人が仲直りしてくれたんだから、あたしはそれだけで大喜びだよ! あたしゃうれしいぞ!!!」
一瞬だけ、摩耶姉ちゃんと榛名姉ちゃんの間に真剣な空気が流れたのは感じたが……その次の瞬間には、摩耶姉ちゃんは私の頭を左腕でロックしたまま、その向かいの席に座った榛名姉ちゃんの頭にも手を伸ばして、キレイな黒髪をワッシャワッシャと乱し始めていた。
「ちょ……いたたたた!!! 摩耶さん、痛いですって!!!」
「うるせー! 散々あたしに心配かけた罰だ! いくら高速戦艦でも、今日は黙って折檻されとけ!!」
「……はい」
「ニッシッシ!!!」
頭を拘束される痛みに耐えながら、私は二人の顔を見比べた。
「へへッ! どうだーお前ら! まいったか!」
そう言いながら、私の頭をぎゅうぎゅうと絞めて、榛名姉ちゃんの頭をガッシガッシと力強く乱す摩耶姉ちゃんは、この鎮守府に来てから、一番嬉しそうに笑っているように見えた。
「痛いです! 髪が乱れますから!! もう放してくださいって!!」
そして、そう悲鳴を上げながら摩耶姉ちゃんに抗議す
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