11. お化粧ならあのひと(2)
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でも、不思議と榛名姉ちゃんに掴まれてる右手の手首は暖かい。まるでゆきおに握られてるような……いや。
――うわー! 姉ちゃんの手、あったけー!!
――そうですか?
まるで昔、榛名姉ちゃんとはじめて握手した時のように、とてもとても暖かい。
榛名姉ちゃんに引っ張られながら、歩くこと数分。私が榛名姉ちゃんに強引に連れて来られたのは、榛名姉ちゃんたち金剛型四姉妹の部屋だ。榛名姉ちゃんたちは、姉妹でひとつの部屋に住んでいる。つまり、ここは榛名姉ちゃんの部屋だ。
「あ、あの……」
「……」
榛名姉ちゃんが、私の手を掴んでない左手でドアを開けた。私は榛名姉ちゃんの背中しか見えてないから、榛名姉ちゃんが今、どんな顔でドアを開いたのか、分からない。
「お姉様がた! いらっしゃいますか?」
でも、今自分の姉妹に声をかけた榛名姉ちゃんの声は、以前のように、とてもやわらかかった。
部屋の中はとても広く、しかも部屋の中でさらに居間と4つの部屋に区切られているみたいだ。その居間では、金剛さんと比叡さんがこたつに入って、のほほんとくつろいでいた。冬の必需品、みかんも常備されている。金剛さんはこたつの上でつきたてのお餅のようにとろけきり、比叡さんはそんな金剛さんによりかかり、『ああっ……お姉様……』と恍惚の表情を浮かべていた。
「オーゥ。おかえりなさい榛名ー」
「……んはッ!? おかえり榛名ー。あ、涼風ちゃんも!」
「ヘーイ涼風〜。ウェルカーム」
私に気がついた金剛さんと比叡さんは、笑顔で私に軽く手を振ってくれた。二人のその笑顔は、以前の鎮守府にいて、私を守って沈んだ、金剛さんと比叡さん、二人の笑顔とまったく同じだ。
そして、あの時の榛名姉ちゃんも、二人と同じく、温かくて、人懐っこい笑顔だった。
「お姉様、霧島は?」
「霧島は今は外出中デース」
「そうですか」
「え、えと……榛名姉ちゃん……」
「榛名は今から部屋にこもります。帰ってきたら霧島にもそう伝えて下さい」
「オーケイ!」
「こ、これでお姉様、独り占め……ッ!!」
「比叡……来客中は自制するのデス……」
あまりに突然のことで、私の頭の理解がついていかない。状況に置いて行かれて混乱している私の手を引き、榛名姉ちゃんは、『はるな』と書かれた立て札がぶら下げてあるドアを開く。どうやらそこは、榛名姉ちゃんの部屋のようだ。
ドアの向こう側は、榛名姉ちゃんの匂いが漂う、とてもおしゃれな部屋だった。窓からは秋のお日様の光が入ってきて、その光がレース越しに優しく室内を照らしている。散らかし放題の私の部屋と比べて、とてもキレイに整頓された部屋だ。
「……ちょっとここに座って待ってて下さい」
私をふかふかのベッド
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