12 拝読
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ないとまで感じてしまった。と、その時・・・。
「私、知っているよ・・・」
野口笑子が無表情で発言した。
「の、野口?」
「私、花輪クンが返した日の放課後、遠くからその本を引き抜いてこっそりランドセルに入れて、持ち帰った人を見ていたんだ・・・。クックックックッ・・・」
「それはいったい誰なんだい?」
「藤木のすぐ隣にいる人だよ・・・」
野口が少し笑いながら言った。まさか、と藤木は疑った。そして永沢の顔を見た。永沢の顔がこわばっている。
「まさか、永沢君かい?」
「ぼ、僕がそんなことするわけが・・・」
「永沢には本当のこと、言えやしないよ、言えやしないよ・・・」
「永沢君!」
藤木が泣き顔から怒り顔に変わった。その時、丸尾も立ち上がった。
「永沢君、ズバリ、本当の事を言うべきでしょう!」
永沢は次々にクラスメイト皆に睨まれていった。
「う、わ、分かったよ、白状するよ!・・・その本は僕が家に持ち帰った。藤木君がちやほやされていて僕は悔しくて、羨ましかったんだ・・・」
「永沢君・・・」
「後で僕んちへ取りに来いよ・・・」
「わかったよ、皆さんご迷惑をおかけしました・・・」
藤木はそう言って永沢と共に自分達の席に戻った。
その後、藤木は永沢の家へ向かった。永沢は本を差し出した。
「ほら、受け取れよ。ごめんよ、隠したりして・・・」
「永沢君、なんでそんなことをしたんだい?」
「君が羨ましかったからさ・・・」
「え?」
「君ばかりリリィに頼りにされているみたいであの時どうして僕にはお礼を言ってくれなかったのか、悔しかったんだ!」
「永沢君・・・、もういいよ。僕は君を頼りにしているんだから」
「え・・・?」
「だって、僕たちは同じ学級文庫係じゃないか!」
「う、うん、ありがとう、藤木君、これからも頑張っていこう」
こうして二人は和解した。
藤木は最後の4巻を夢中で読んだ。
藤木は完読した。藤木は「トム・ジョーンズ」の4巻を学級文庫に戻した。そしてリリィに会うと礼をした。
「リリィ、この本僕も夢中で読んだよ、ハラハラもしたけど最後は感動したよ」
「ありがとう、藤木君に読んでくれてこの本選んでよかったわ」
「リリィ・・・」
藤木は完読してリリィに喜んでもらえて嬉しく感じた。そして自分も作中の登場人物のようにリリィと結ばれたらなと内心で思っていた。
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