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とある3年4組の卑怯者
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子を、野口笑子が傍観していた。
「クックックッ・・・」

 藤木は休み時間も、そして家に帰ってからも夢中で読んだ。

 花輪が2巻を先に読み終わると、藤木はそれに続いて2巻を借りた。

 そして、花輪が3巻を読み終わると、藤木はそれに続いて3巻を借りる。

 そして、花輪が全巻読破を達成し、4巻を返却した。その日の夜、藤木も家でちょうど3巻を読み終わった。
(よし、あと1冊だ!)
 藤木は最後の巻を待ち遠しく思い、明日を待った。

 翌日、藤木は教室に入り、3巻を返却した。そして、最後となる4巻に手を伸ばそうと思ったが、楽興宇文庫の中に入っていなかった。
(な・・・、ない?)
 藤木は誰かが借りているのではないかと思った。花輪は昨日返却しているのだし、自分以外では、あとから読み始めている人もいるが、途中を飛ばして読むなんて考えられない。藤木は永沢のところに行って聞いてみた。
「永沢君、『トム・ジョーンズ物語』の4巻を誰か借りているのかい?」
「さあ、僕は知らないよ?藤木君がもう借りているんじゃないのかい?」
「僕は借りてないよ。だからこうして聞いているんじゃないか、学級文庫係だろ?」
「君も学級文庫係だろ?それに君こそ読んでいるんじゃないか?君が責任を取るべきだね」
「そんな、永沢君!そんなこと言わなくたっていいじゃないか!」
 藤木は熱くなっていた。そんな時、リリィが現れた。
「どうしたの?」
「藤木君が『トム・ジョーンズ物語』の4巻が学級文庫にないって大騒ぎしてるんだ。僕はそんなの知らないし、藤木君が読んでいたから、藤木君が悪いんだよ」
「そんな酷いこと言わなくてもいいでしょ?みんなに聞いてみたらいいじゃない!」
 リリィが永沢を叱った。そして藤木に顔を向けた。
「藤木君、きっと見つかるわよ」
「う、うん・・・」

 帰りのホームルームの際、藤木と永沢は学級文庫係として前に出た。
「学級文庫係からのお願いです。『トム・ジョーンズ物語』の第4巻が学級文庫になく、誰かが借りた様子もありません。誰が所持している方はいますか?」
 藤木は焦りながら言った。対照的に永沢は他人事のような顔をしていた。
(ふん、君学級文庫係としていい気になってばかりいるからこうなるのさ。これで君はあの本を読破することはできないね・・・)
 永沢は心の中で藤木の災難を喜んでいた。誰も心当たりはないようだった。
「藤木君、誰も知らないよ、人が持ってきた本を大事に管理できないようじゃ、君は学級文庫係失格だね・・・」
 永沢は馬鹿にしたように言った。
「そんな・・・」
 藤木は泣きそうになった。せっかくリリィのために共にお金を出してまで買った本をこんなみっともない形で紛失してしまうなど、信じたくなく、リリィに見せる顔が
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