9人の女神
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っと頑張れると思うの!!」
キラキラとした瞳で自身にまた野球をやってもらいたいと懇願するその姿に、彼女は心を動かされた。
目の前に差し出されたその手を取り、ギュッと握り返す。
「よし!!これで八人」
「いいえ、九人よ」
「「「「「え?」」」」」
ついに正式な部活動になるまであと一人となったと思った途端、後ろにいたにこがそんなことを言い出し、全員がそちらに振り返る。
「そうよね、希」
「えぇ!?にこっちってば本気なん!?」
指名されたのは絵里の右腕とも言える生徒会副会長。ビックリしている彼女に、小さな少女が詰め寄る。
「何よ、『絵里ちが野球やるんやったらうちもまたやろうかなぁ』とか言ってたじゃない!!」
「いや、あれは言葉の彩と言うか・・・」
目が泳ぎにこと視線を合わそうとしないその姿を全員が怪しげな目付きで見ている。その話を聞いていたところで、海未が気が付いた。
「もしかして、希先輩も野球をやっていたんですか?」
「「「「「えぇぇぇ!?」」」」」
「ちょっとだけや、絵里ちみたいにレギュラーやった訳じゃないし」
先日穂乃果たちが見たビデオは希から提供されたものだったのだが、彼女は絵里が出場していた全国大会に同じように参加していた。対戦こそ叶わなかったものの、情報戦とも言われる現代野球では、どこかで当たるかもしれない相手のデータを取るなど当たり前のため、以前撮影していたものを希がチームにお願いしコピーさせてもらっていたのだ。
「希・・・」
「そんな睨まんでよ・・・」
まさかの裏切り行為に怒りの眼差しを向ける絵里。希はそれから逃れようと必死だったが、穂乃果が駆け寄ってきて抱き付いてきたため、動きが封じられる。
「これからよろしくお願いします!!希先輩!!」
何とかしてなかったことにしようとしていた希だったが、屈託のないその笑顔を向けられてしまっては、もう誰も抵抗することなどできない。
「もう!!どうなっても知らんからね!!」
投げやり気味の声でそう叫ぶ姿を見て、全員が歓喜に包まれる。
ようやく揃った九人の女神たち。彼女たちが廃校を阻止することができるのかは、名捕手と言われた天才の手に掛かっていた。
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