9人の女神
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りも遅いことから、変化球が抜けたのだと絵里はこれまでの経験から特定してしまった。
クッ
パシッ
「あ・・・」
高めに抜けたボール球。そう思い見送ったボールは打者の手元で大きく落ち、キャッチャーミットに吸い込まれる。
「ストライク!!バッターアウト!!」
バットを下し、信じられないといった表情を浮かべる彼女に対し右手を高々と挙げてコールをする球審。それはこの対戦を終幕を意味していた。
「やったー!!やったよ花陽ちゃん!!」
「はい!!やりました!!」
嬉しさのあまりマスクを放り投げ花陽に向かって駆け出す穂乃果。花陽は駆けてきた彼女に抱き締められて正気に戻り、大喜びで抱き締め返す。
「ナイスピッチングです!!」
「よくやったわ!!花陽」
「スッゴいニャー!!」
「よくやったわ!!」
「すごいよ花陽ちゃん!!」
感動の絶頂にいるバッテリーの元に遅れてやって来るチームメイトたち。その姿をバッターボックスから見つめる少女の元に、二人の少女が歩み寄る。
「完敗やったね、絵里ち」
「えぇ。まさか最後にあんなボールを選択するなんて・・・」
通常高めに浮いてくる変化球は長打になりやすいため避けるべき球種とされている。しかし、それゆえに打者もそこを警戒しなくなるため、ハイリスクハイリターンとして攻めるのも一種の策である。
「生徒会長!!いや、絵里先輩!!」
ガッカリと来ているその人物の元に、駆け寄ってくる穂乃果。その嬉しそうな表情を見て、彼女は約束を思い出しつつ、タメ息をついた。
「約束だもんね。いいわ、野球部を認め―――」
「絵里先輩!!すごいバッティングでした!!」
自身の言葉を遮られたことよりも、敵からの賛辞の声に驚愕の表情を浮かべる絵里。穂乃果はそんな彼女の姿が見えていないかのように、次々に感想を述べていく。
「打球がびっくりするくらい速くて、あんなに飛ぶなんて思ってませんでした!!やっぱり絵里先輩ってすごい人だったんですね!!」
一気に捲し立てた後、さっと右手を差し出す穂乃果。その手の意味がわからなかった絵里は、彼女の顔を見つめる。
「絵里先輩!!これから私たちと一緒に野球をやりましょう!!」
「私は・・・」
確かにそう約束していた。しかし、彼女は妹にケガをさせた罪悪感からその手を取ることができず、固まってしまう。
「お姉ちゃん!!」
そんな少女に、小さな少女が声をかける。
「私、お姉ちゃんが野球やってる姿がすごい好きだった。お姉ちゃんみたいになりたくて、ずっと野球をやって来れたの」
「亜里沙・・・」
「お姉ちゃんがまた野球をしてくれたら、亜里沙、すごい嬉しい!!またお姉ちゃんと野球やれるって思ったら、もっとも
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