9人の女神
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は任せてみたかったが、それで負けてしまっては元も子もない。
天王寺はベンチから立ち上がると、ゆっくりと、間違えが起こらないようにサインを送る。それを受けた穂乃果がうなずき、花陽へとサインを伝達する。
(外角ストレート、内角からストライクに入ってくるスライダー。次もストライクで来るかしら)
構えに入りつつ、チラリと捕手の位置を確認する。すると、視野に入った捕手が、中腰に構えていることに気が付く。
(高めの釣り球?でも、このスピードじゃボール球は振らないわよ)
どんな狙いがあるのかわからないが、念のため高い球を気にしつつ次なる投球を待つスラッガー。花陽は一つ息を吐き、大きく足を上げる。
ビシュッ パシッ
「ボール」
フェイクをかけているのかとも思ったが、予想通りの高めのストレートに絵里は余裕を持って見送る。これでカウントは1ボール2ストライク。これを見て天王寺から再度サインが送られる。
(セオリーなら低めにワンバウンドする変化球。でも、このスライダーの変化量なら、見極めることはできるわ)
何事にも定石と言われる攻め方がある。だがそれは経験値の高い者の方がよくわかっており、この場合打者の方がそれに対する準備をできる。その状況の中で、新米バッテリーは意思疏通をし、投球に入った。
ピュッ
「!?」
リリースされた瞬間、予期せぬボールに絵里の体勢が崩れた。
今までの球種よりも高い軌道で放物線を描きながら、わずかに揺れながら打者へ向かってくるボール。
(ナックル!!)
ガッ
前のめりになりながら必死に食らい付き、一塁側へフラッとした打球を上げる。ファーストを守る真姫がそれを追い掛けるが、打球はフェンスの向こう側へと落ちる。
「フーッ」
想定外のボールになんとか対応できたことに安堵の息を漏らす。もちろん変化球でタイミングをずらすことは想定してはいたが、そのボールがナックルだったことで慌ててしまったのも確かだ。
(ストレートにスライダーにナックル・・・まだあるかしら?あるなら一体・・・)
次は一体何が来るのかわからず、敵のサインを出す監督を見る。天王寺はカットされたことに動揺することなく、迷いなくサインを送る。
(カットされるのも想定済みだったわけね)
次にどうなるのかを常に予測しているその姿勢に感心しつつ、意識を投手へと映す。例によって花陽は速いテンポで投球に入る。
(際どい球はカット!!半端なスイングだけはダメ!!)
迷いは運動能力を低下させる。余計なことは一切斬り捨て、来た球を打つことにして投手を見据える。
ビシュッ
(!?高・・・)
放たれた瞬間、三球目の見せ球と同じボールだと思った。ただそのボールよ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ