9人の女神
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く声をかける。
(球速は100kmちょっとくらいかしら。矢澤さんと同じくらいね)
打席に立ち、鋭い眼光で敵を見据える。それを向けられた花陽は、ビクッと恐怖に体を震わせていた。
「花陽ちゃん!!」
「は!!はい!!」
怯えている様子のエースの名前を前に座っている主将が呼ぶ。それで冷静さを取り戻した花陽は、眼鏡の奥の目を細め、集中力を高める。
「似てる・・・」
「ん?亜里沙ちゃん何か言うた?」
「いえ・・・」
マウンド上の小さな姿を見て亜里沙が何かを呟いたが、それはすぐそばにいた少女にもきちんと聞こえなかった。
(さて、初球は・・・)
穂乃果から花陽へとサインを送る。それに少女はうなずくと、セットポジションから投球へと入っていく。
(この子もセットポジションからなのね)
最初に投げたにこは振りかぶって投げていたが、海未と花陽はそうじゃなく、セットポジションからの投球を行っている。この手の投手は比較的制球力に優れていることもあり、絵里はストライクを叩いていこうとボールを見つめる。
ビシュッ
軸がブレることなく足を上げ、ムダのない投球フォームからボールを繰り出す。絵里もそのボールに積極的にバットを出す。
キンッ
乾いた金属音が聞こえたが、打球は前ではなく後ろにあるバックネットへとぶつかる。穂乃果はミカから替えのボールを受け取ると、花陽に声をかけながら返球する。
「ナイスボール!!」
「はい!!」
帽子を脱ぎながら額の汗を拭う。着帽した少女は再びセットポジションに入り、キャッチャーからのサインを受ける。
(外角にストレート、無難な攻め方ね。コースが良すぎて捉えきれなかったわ)
一球目の攻め方を冷静に分析する絵里。その表情を見ながら、穂乃果が次のサインを出し、花陽がうなずき、投球動作に入る。
ビシュッ
(内角!!いや、このスピードは!!)
ボール気味の内角球だが、絵里は果敢に振りに出る。すると、ボールたと思われたボールが打者から逃げるように変化する。
(やっぱり!!)
(ウソッ!?読まれた!?)
カキーンッ
快音を残した打球。しかし、それは希と亜里沙のいるベンチに吸い込まれるように飛び込んでいった。
「ファール!!」
結果的に追い込む形になったが、未知数であるはずの敵のボールを確実にミートする能力の高さに守備陣の心拍数が跳ね上がる。
(どうしよう・・・次はどう攻めれば・・・)
前の打席でのホームラン性の当たりを見たこともあり、不安な気持ちに駆り立てられた穂乃果が天王寺に視線を送る。
(まだ任せるには早かったか)
捕手を始めてまだ一週間にもなってない。経験を積ませる意味も込めてここ
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