9人の女神
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レートに詰まらされるシーンが見受けられる。皆、長打や鋭い打球に気を取られてしまい、敵の能力を正確に把握できていなかったのだ。
「敵を私たちの中で大きくしちゃダメだよ!!相手も同じ高校生だもん!!やってみなくちゃわからない!!」
「穂乃果ちゃん」
ポジティブな主将の言葉に全員が勇気付けられた。先程までの暗い雰囲気が一変し、皆笑顔が垣間見える。
「となる一番重要なのは・・・」
気持ちが高ぶったところで、全員の視線がある人物に注がれる。一斉に向けられたそれにビックリした少女は、体をビクッとさせた。
「花陽!!あんたが頑張らなきゃいけないのよ」
「そうね。なんと言ってもエースなんだから」
一打席目で登板するにこ、二打席目で登板する海未はすでに天王寺から投球の指示が出ている。だが、エースに指名された花陽だけは別の指示が出されていた。
『決め球を使うタイミングはこっちで指示する。だが、あとはお前たちに任せようと思う』
花陽と穂乃果、エースと正捕手とが初めて行う共同作業。憧れの人物から信頼され、託された彼女は嬉しさと緊張でいっぱいだった。
「本当に大丈夫かな?」
「大丈夫だよ!!穂乃果も頑張るから!!」
不安で顔をうつ向かせかけたエースの手を取りギュッと握り締める相方。他の面々も彼女に笑みを見せており、それにより花陽の緊張が解れていく。
「はい!!精一杯頑張ります!!」
パシッ
「軟投派、速球派と来て最後は技巧派。継投で緩急を付けて来てるわね」
最後のマウンドに上がった眼鏡の少女を見てタイミングを合わせるためにバットを振っている絵里。その人物に、後ろから希が声をかける。
「絵里ち、わかってる?」
「何が?」
「向こう、ここまでボール球一球も使ってへんよ」
希の指摘した通り、にこ、海未双方ともにすべてのボールをゾーンで勝負してきている。それを指摘された絵里は、相手の投手を観察しつつ、一つの推測を立てる。
「先に追い込んでこちらに狙いを絞らせないつもりね」
「せやね。しかも、ここまで絵里ちは初球を振れてない。たぶん初球から振っていかんとまたやられるよ」
「了解」
相方からの注意を心に刻み、再三打席へと向かう絵里。
「絵里ち!!」
だが、二、三歩歩いたところで声をかけられ、彼女の方へ向き直る。
「カードの意味、わかるよね?」
彼女の手に握られているのは、タロットカードの正位置の星。それに対し、絵里は何も答えず、打席へと向かった。
「よーし!!頑張ろう!!花陽ちゃん!!」
「は!!はい!!」
緊張のあまり返事をする声が裏返っている花陽に、バックからも優し
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