10. お化粧ならあのひと(1)
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いに両手を開いて『ぱんぱかぱーん』って叫んだり、大騒ぎもいいとこだ。どれもそれなりに似合ってるのが腹立たしい。男の子のくせに。
これはますます怪しい。絶対にゆきおは何かを隠している。なぜゆきおは、榛名姉ちゃんにお化粧のことをこんなに聞いて欲しいんだろうか。
……あ、ひょっとして。
「ゆきお」
「ん?」
「榛名姉ちゃんが好きなのか?」
あれだけキレイで……優しくて、それでいてカッコイイ人なら、ゆきおも男の子だし……榛名姉ちゃんのこと、好きになっても仕方ない。……なんか、すんごい残念だけど。理由はよく分からないけど、なんだかすんごい残念だけど。
「なんでそうなるんだよっ!」
ゆきおは私の追求を、真っ赤な顔で否定していた。鼻の穴をぷくっと開いて、そこから水蒸気を出して、かなりムキになって怒ってる。そんな感じだ。ほっぺた赤いけど。
「えー。だってやたら榛名姉ちゃんをプッシュしてくるしー」
「それは榛名さんがキレイだからっ」
「そうやって、榛名姉ちゃんのことキレイだって褒めるしー」
「だってキレイじゃないか榛名さんはッ」
ゆきおの反論を聞いていると、不思議と私も口がとんがってくる。モヤモヤした不快感が胸に広がってくるが、それはなぜだかゆきおには悟られたくない。でも、そんな私の気持ちに気付いて欲しいような……我ながら、なんだかとてもめんどくさい感情を抱いた。
ひと騒ぎした後、ゆきおから『とにかく一回、榛名さんに聞いてみるんだよ!?』と念を押され、私はもんもんとした気持ちを抱えながら、半ば強引にゆきおに部屋から追い出された。
ちぇ……もうちょっと話したかったのに……ゆきおのアホ。そんな風に私を扱うのなら、もうここに遊びに来てやんないからな。豆大福も桜餅も、もう持ってきてなんかやらないからな。そんな幼稚なことを、心に誓った。
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