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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
631部分:第四十九話 馬岱、真名を言うのことその二
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第四十九話 馬岱、真名を言うのことその二

「あいつのこと」
「別に何とも思わないのだ」
 こう返す張飛だった。魏延は道中でも劉備にあれこれと尽くしている。その彼女を横目で見ながら話をしているのである。
「焔耶はいい奴なのだ」
「何時の間に真名で!?」
「今さっきなのだ」
 張飛はあっとした顔で驚く馬岱に素っ気無く答えた。
「そうなったのだ」
「今さっきって」
「話してみるといい奴なのだ」
 張飛は持ち前の天真爛漫さで話すのであった。
「それは翠も言っているのだ」
「じゃあ姉様も」
「勿論なのだ。今ではお互い真名で呼び合っているのだ」
「ちょっと、何であんな奴に」
「鈴々にとってはどうして蒲公英があいつをそこまで嫌うのかわからないのだ」
「決まってるじゃない、あいつは」
「嫌い過ぎなのだ」
 張飛の顔は少しむっとしたものになっていた。
「それはかえってよくないのだ」
「けれど」
「言っておくのだ。焔耶はいい奴なのだ」
 また言う張飛だった。
「それは鈴々が保障するのだ」
「だからそれは」
「いえ、そうだと思います」
「私もです」
 まだ言おうとする馬岱に今度は孔明と鳳統が話す。
「魏延さんは頭が絶壁なのが気になりますけれど」
「あれは反骨の相ですね」
 二人はその相も見ていた。
「誰かに逆らうものがあります」
「それが気になりますけれど」
「ほら、やっぱりそうじゃない」
 馬岱はその反骨の相という言葉に食いついて話した。
「だからあいつは一緒にいたら」
「ですが顔の相全体はとてもいい方です」
「星やお名前の文字、陰陽五行から見ましても」
 二人はとにかく様々な方面から人を見るのだった。まだ小さいながらも伊達に軍師をしているというわけではないのであった。
「桃香さんとの相性は最高です」
「何があろうと裏切られはしません」
「確かに多分に危険な香りはしますけれど」
「桃香さんには絶対です」
「だからいいっていうの!?」
 馬岱はこのことにも不満を感じるのだった。それを顔にはっきりと出す。
「皆一体何だっていうのよ」
「だから嫌い過ぎると駄目なのだ」
 またこう言う張飛だった。
「何度も言うのだ」
「何だっていうのよ、本当に」
「まあ蒲公英、あれだ」
 馬超もまた従妹に話す。
「相性だろ」
「相性って」
「あいつは桃香さんとは抜群に相性がいいんだ」
 それは彼女も見てわかることだった。
「けれどその代わりな」
「私とはなの」
「そういうことだろ。御前もつっかかるな」
「けれど見てるだけで」
「じゃあ見るな」
 今度はこう言う馬超だった。少し怒った顔になって小柄な従妹を見下ろしている。
「全く。御前はすぐに誰かにちょっかいかけるからな」

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