第88話 砂細工
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握らせた手には巻物があり、硬く紐が縛ってある。
「えっ、えっ!?」
骨組みだらけの腕を振りながらバイバイと御坂にしばしの別れを告げる。
「いやいやいやー!!?なに一方的に伝えて消えんのよ!バイバイじゃないって!」
尚も手を振り続ける二人。
ぎこちなく軋む腕は御坂にではなくもっと奥の誰かに振っているようにも感じた。
彼らの乾いた瞳は御坂よりも頭一つ上を見ている。
「???」
試しに覗き込むように首だけを動かすが松明の灯りがぼんやりと揺らいでいる程度だ。
その揺らめきが大きく左右にブレ出すと御坂の視界は暗転していき。
「!?」
赤色の豪華な絨毯の上で仰向けで気絶していた御坂が勢い良く夢での反動そのままに状態を起こすと砂で強固に造られたかまくらのようなモノに頭をぶつける。
「あだっ!!?つぅー!」
砂のかまくらは御坂の頭突きを受けてヒビが入り、自重でヒビが大きくなるとサラサラとした砂が御坂の上に砂糖のように流れ出てきた。
「うわっぷ......??ぺっぺ」
盛大に掛かった砂を吐き出しながら髪の毛に絡む砂を払うと何か棒のようなモノに気が付いてそっと確かめるように指先で探る。
「これってサソリが持っていた巻物?」
それは暁派閥発足時にサソリが持っていた巻物と瓜二つであった。
解こうにも強い力が働いてあり、解けない。
これは確か......
「くちよせ......」
それを使えという事?
******
月が叢雲の中へと消えていき、枝垂かかるような暗闇が広がる中で転生体のマダラの身体を奪った黒ゼツと警策の身体を奪った分身体のサソリが互いに万華鏡写輪眼を鋭く光らせて向かい合っていた。
似たような字面ではあるがチャクラの総量と奪った身体の熟練さは月とスッポン程あり、サソリの勝機は万に一つ無いように思えた。
それはサソリ自身も嫌というくらい実感している。
万に一つ無いかもしれないが、十万にも兆に一つなら数値誤差で生じる奇跡に等しい確率でなら倒せる手がサソリの戦場を越えてきた小賢しい頭脳で到達していた。
それは幾つもの運要素が必要になってくる。
他人に頼らなければならない場面も多く、策としては破綻している無謀な挑戦に近い。
しきりに黒ゼツは馴染んでいないのかマダラの指を開いたり閉じたりを繰り返している。
その様子にサソリ警策はニヤリと笑い、最初の賭けが成功したと確信した。
サソリは気取られぬように淡々と冷静に構えを解かずに質問を始める。
イマイチ奴らの目的がはっきりしないからだ。
だが予想している。誘導をすればいい。
「一つ良いか?」
「?!」
「お前らはコイツらをどうするつもりだ?」
サソリ警策の後ろにいる湾内達を親指で指差しながらサソリが訊く。
黒ゼツはい
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