第五幕:虹色ってドンナ色?
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子で・・・と、言った所で、その少女が、此方の動きに気付き、視線を送ってきた。
七夏「あ、起きました?」
時崎「ん・・・少し眠ってしまった」
七夏「お疲れみたいですから、今日は早めにお休みくださいね」
時崎「ありがとう・・・七夏ちゃん」
バス亭で、初めて七夏ちゃんと出逢った時の記憶と重なり、少し落ち着かない。
七夏「すみません」
時崎「ん?」
七夏「勝手にお部屋に入ってしまって・・・呼んでも、お返事がなかったので」
時崎「あ、気にしなくていいよ。部屋に入ってきていいって言ったの俺だし」
七夏「ありがとうございます。えっと、お風呂の案内がまだでしたので」
時崎「そうだった。じゃあ、お願いするよ」
七夏「はい。では、参りましょう!」
七夏ちゃんに案内されて、お風呂場まで来る。民宿とはいえ、立派な銭湯だと思う。時間で、男湯と女湯が決められているので、注意が必要だということ。しかし、今日みたいに俺一人しか泊まり客がいない場合は、相談すれば融通も利くそうだ。
時崎「あ、露天もあるんだね」
七夏「はい。こちらは混浴になりますので、お時間に関係なくご利用できます!」
時崎「なるほど。了解!」
露天のお風呂を見て、民宿風見のお風呂について、ひとつの疑問が頭を過ぎる・・・。
時崎「露天と普通のお風呂を、それぞれ男湯と女湯に分ける事はしないの?」
七夏「はい。今すぐお風呂に入りたいというご要望にも、お答えできるように、露天は、どなた様でもご利用できるようにしてあります」
時崎「なるほど・・・ちゃんとした理由があるんだね」
七夏「ありがとうございます! これから、お風呂にいたしますか?」
時崎「そうさせてもらうよ」
七夏「はい。あ、柚樹さんの浴衣。持ってまいりますね」
時崎「ありがとう」
いきなり露天でも良かったのかも知れないが、今回は室内銭湯を利用した。お風呂上りの七夏ちゃんと同じ香りがする銭湯は、なんともこそばゆい感覚になりつつも、それが少し嬉しかったりもした。
・・・湯船に浸かり目を閉じる・・・今日一日、結構色々な事があったな・・・。七夏ちゃんと再会できた事を、改めて嬉しく思う。今までの旅館やホテル泊と違うのは、七夏ちゃんが、よくお部屋に来てくれた事・・・民宿は、そういう点で親しみを覚えた。
お風呂から上がり、七夏ちゃんが用意してくれた浴衣(風水浴衣)を羽織る。旅館や民宿では特別珍しい事ではないのだが、七夏ちゃんとお揃いの浴衣(とは言っても全く同じではないが)と言うだけで、何か特別な感じがする。俺は昼食を頂いた時の和室へ向かうと、そこで、お皿を並べていた七夏ちゃんがこちらに気付き、冷たい飲み物を用意してくれた。
七夏「もうすぐ、お夕食が出来ますので、少し待っててくださいね」
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