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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第六話 過去の歪み
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鎮守府に着任した『海原黒香』と申します。以後、お見知りおきを」
「こいつは驚いた。こんなお嬢ちゃんが提督だったなんて。でも、どうしてあの鎮守府に着任したんだ?知ってるだろ?あの鎮守府の現状を」
「はい。私はあの鎮守府にいる艦娘達を助けるために着任したのです。艦娘達は私にとって家族ですから」
「なるほどな。まるで、初代提督を見てるような感じだ。………よしわかった。俺達もあの子達を助けるためにお嬢ちゃん達に力を貸すよ」
「ありがとうございます。その時になったら、ぜひ頼らせてもらいます」

凰香は店主に頭を下げると、代金を支払って店を出る。店を出た途端、凰香の顔から表情がなくなった。
凰香は無表情で防空棲姫達に言った。

「……まさか、前任者がここまで腐りきったクソ野郎だとは思ってもいなかったわ」
「そうね。ここまで頭にきたのは久しぶりな気がするわ」

凰香の言葉に防空棲姫が頷く。防空棲姫があそこまで怒るのは滅多にない。もしここに二代目提督がいたら、防空棲姫は間違いなく二代目提督を殺すだろう。

「でも、街の人達が凰香さんのことを敵視していなくてよかったですね」

夕立が安心したように言ってくる。夕立の言う通り、街の人達が凰香のことを敵視していないということだけでもありがたいことである。それどころか艦娘達を助けることに協力してくれるというのは、凰香達にとって嬉しい誤算であった。
夕立の言葉を聞いた時雨が言った。

「そうだね。もし街の人達が僕達のことを敵視していたらどうしようかと不安になっていたところだよ」
「とりあえず協力してくれるから、遠慮なく力を貸してもらいましょう」

凰香はそう言った。すると防空棲姫が思い出したように言った。

「そういえば、店主が気になることを言っていたわね」
「はい。凰香さんのお父さんは大本営の陰謀で殺されたとか………」

防空棲姫の言葉を聞いた榛名が店主の言っていたことを口に出す。
以前旧泊地に海原少将が来た時に当時の秘書艦を修復不能なまでに大破させてしまったことで提督を辞めさせられたと聞いていたが、大本営の陰謀というのは初耳である。突拍子もない話だが、一般人が嘘をいう必要性がない。しかも初代提督と仲が良かったという人からの情報だ。かなり信用性の高い話だろう。
凰香は防空棲姫達に言った。

「………この話私達だけの中にしておいて、おいおい調べていこう」
「そうね。下手に探って勘付かれたら、闇に葬り去られるかもしれないからね」
「うん、わかったよ。………あとはこれからの食事をどうするかだね」

時雨がそう言う。
時雨の言う通り、都市部に比べて物価が高い。まあ防空棲姫が荒稼ぎしたお金がま
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