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俺の涼風 ぼくと涼風
9. はじめての演習(2)
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?」
「よっと」

 途端にゆきおの身体がバランスを崩し、背中から私に倒れこんでくる。私は倒れるゆきおを全身で受け止め、そしてゆきおの二の腕に触れた。

「ありがと。涼風」
「いいってことよ。立てっか?」
「うん。ちょっと手を放してみて」
「あいよっ」

 ゆきおの言葉を信じ、私はゆきおから手を放して、そろーりそろーりとゆきおの背中から離れた。ゆきおはしばらくの間『おおっ……ぉおっ?』と口ずさみながらヨロヨロとバランスを取っていたが、やがてそれも収まってきて、次第に直立出来るようになってきた。

 ゆきおがまっすぐ立てた後、今度はゆきおの足に艤装を装着する。

「サイズは合うかなー……」
「大丈夫だと思うぜー?」

 装備はまず左から行った。ゆきおが左足のスリッパを脱ぎ、しゃがんでる私の左肩を支えにして左足を上げる。その左足に、私が主機を装着してあげた。

「……ゆきおー」
「ん?」
「ゆきおの足……」
「どうかした?」
「……いや、あたいと足のサイズ、同じかもな」

 危なかった……思わず『真っ白でキレイな足だなー』と口に出してしまいそうだった。

 私の予想はピタリと当たった。睨んた通り、私とゆきおの足のサイズはほぼ同じようだ。大きすぎることもなく小さすぎることもなく、私の艤装はゆきおの足にぴったりとフィットしていた。左足の装着が終わったら、そのまま右足の装着を行う。やはり右足も、ぴったりとフィットしていた。

「これでよし」
「おお……こ、これで僕は……」
「うん。どこからどう見ても、あたいの姉妹艦だな!」
「『姉弟艦』て言ってよ……」
「だって艦娘だろー?」
「でも男だし……」

 そしてそのままゆきおは、一歩一歩力を込めてガションガションと海に向かって歩いて行った。初めて装着した艤装一式はとても重いようで、歩を進めるゆきおの足取りがとても重い。確かに艤装は、それをつけて陸を歩くようなものではないから、重いのは仕方ないんだけれど。

「っく……っく……」
「ゆきおー。大丈夫かー?」
「だいじょうぶ……っく……」

 そのたどたどしい足取りを後ろから見てると、なんだか不安になってくる。提督も同じことを考えているのか、ぷるぷる震えるゆきおの後ろ姿を見守るその表情が、なんだか不安げに見えて仕方がない。

 なんとか海面の前まで歩いてきたゆきおだが、この段階ですでに息が上がってしまったようだ。ゼハーゼハーと肩で息をするゆきおは、海面をジッと見つめ、そしてそこでへっぴり腰のまま、ピクリとも動かなくなってしまう。

「えっと……すずかぜ」
「んー?」
「どうやって立てば……いいのかな」
「そのまま足を海面につければ、自然と立てるぞ?」
「うう……」

 私のア
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