8. はじめての演習(1)
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いい。そのことがまた、私の気持ちを弾ませた。
『大和型の艤装っておっきいねー……』とか『川内型の艤装の中にどうしてマイクが?』とか、色々と話をはさみながら、ゆきおと一緒に艤装全集の本を眺めていく。
「おっ。あたいらだ」
「白露型だね」
ゆきおがページをめくるスピードが下がった。今開いているページは白露型。特に白露や夕立、村雨の艤装のページを見て、ゆきおが目をぱちくりさせている。
「ん? どしたー?」
「いや、同じ白露型なのに、涼風のとは全然違うなーと思って」
「白露たちとあたいの艤装はちょっと違うんだ。でも、五月雨とは同じ艤装だぜ?」
「ふーん……」
ゆきおが再びページをぺらぺらとめくっていく。五月雨と私の艤装のページで指が止まった。私が持つ単装砲や魚雷発射管、足に取り付ける主機などの図面とイラストが、ページ一杯に記載されている。
「……うんっ」
「うん?」
一緒にページを眺めるゆきおが、少しだけほっぺたを赤くして、力強く、うんと頷いていた。
「どした?」
「ん?」
この本を一緒に眺め始めてから、ゆきおはそんなリアクションを取ったことはない。他のページを眺めてる時は、ずっと静かに、黙々と文章を読んでいるだけだった。
それなのに、私と五月雨の艤装を見た途端、ゆきおはほっぺたを赤くし、目をキラキラと輝かせ、力強く頷いていた。これは一体、どうしてだろう。その目に力を宿した理由は何なのか気になった。
「えっとね……」
私の問いかけを受けたゆきおは、私の方を見て、ほっぺたをさらに赤く染めた。その真っ赤なほっぺたを右手の人差し指でポリポリとかき、顔は私の方に向けて……でも、目は私からそらして、恥ずかしそうに、ぽそぽそと理由を教えてくれる。
「いや、キレイだなーって」
「キレイ?」
「うん。他のみんなの艤装もかっこよかったり、強そうだったり、色々だけど……」
なぜだろう。胸がドキドキする……
「涼風の艤装って、スッキリしてて、キレイだなーって思って」
「……」
「僕の艦種は何になるかわからないけど、出来れば涼風と同じ、改白露型がいいなーって思ってるんだ」
そう言ってゆきおは、やっぱり恥ずかしそうに私から視線をそらしながら、今度は鼻の頭をポリポリとかいていた。
私は私で、ゆきおが『涼風と同じがいい』と言ったその瞬間、胸がドキンと高鳴ったことを感じた。
「え、えと……」
「もしそうなったら、よろしくね」
……妙だ。なんだか恥ずかしくなってきた。せっかくゆきおが私と同じ『改白露型がいい』って言ってくれてるのに……私だって、ゆきおが改白露型だったらすごくうれしいのに……
「あ、あのさゆきお!」
「うん?」
私
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