628部分:第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその十四
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第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその十四
「よいな」
「目立たないようにですか」
「誰が見てもわかるわ」
こうも囁くのであった。
「御主のその様子はな」
「そうだったのですか」
「気付いておるのは本人だけだ」
そうだというのである。
「劉備殿だけじゃ」
「劉備殿御自身は」
「あの方はどうもな」
その劉備を見ての言葉だった。
「おっとりしておるな」
「それがまたいいのですか」
「緩くないか?多少」
「それがとても」
とにかく劉備を褒めまくる魏延だった。
「いいのでは」
「御主、べた惚れも過ぎるぞ」
そうだというのである。
「だから慎め」
「ですから私は」
「だから誰が見てもわかるぞ」
「だからですか」
「そうじゃ。まあ言っても無駄じゃろうな」
厳顔はそれもわかっているのであった。
「御主の場合は」
「左様ですか」
「本人はわかっておらぬしな」
またこのことを言う。
「本人だけはな」
「ですからそれがまた」
「だからそれはわかっておる」
劉備のその話はなのだった。
「わかっておるからじゃ」
「左様ですか」
「言っておくぞ。よいな」
「は、はい」
そんな話をしておくのだった。そのうえでだ。
その劉備にだ。行く先を尋ねたのであった。
「南蛮に行くのか」
「はい、そこです」
「ふむ。厄介な場所に行くな」
「厄介なんですか?」
「あそこは漢ではない」
厳顔は難しい顔で述べた。
「それにじゃ」
「それに?」
「あの国はしかも妙な者達がおる」
「妙な?」
「妙なとは誰なのだ?」
今度は関羽と張飛が問う。
「あの国は漢とは全く違う風俗習慣なのは聞いているが」
「どういった連中がいるのだ?」
「人間なのは間違いないがじゃ」
厳顔の顔は曇ってきていた。
「それでもじゃ」
「それでも」
「それでもというと?」
「猫じゃな。それに似ておるか」
猫だというのだった。
「それがな」
「猫?」
「猫なのだ」
「本人達は虎のつもりかのう。とにかく妙な者達じゃ」
「そういえば北の胡とはまた違うんだったな」
「そうよね。何もかもがよね」
馬超と馬岱がそれを話す。
「漢に攻めてきたことはないか」
「そうよね」
「自分達だけで生きてるよな」
「だから何もね」
こう話してだった。そうしてなのだった。
「今からそこにね」
「行くんだよね」
「覚悟しておれよ」
厳顔は話した。
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