幻想御掌2 -失敗と勘違い-
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
あの後、美琴が取引場所になっているファミレスに訪れ何とか情報を得ようとした。
俺と黒子は近くの席から見守る事にし、先程から続いている美琴の"超ぶりっ子のか弱い女の子"の熱演ぶりを見ていた。
因みに、黒子は美琴の発言や態度を聞いたり見る度に飲み物を吹いたり、テーブルに頭をゴンゴンとぶつけながら何やらブツブツと言っている。
──……うん、放っておこう。
俺は苦笑いで黒子を見ながら、コーヒーを飲み次の事を考えていた。
──もし、仮にもここで幻想御掌を手に入れたとする。
だが、手に入れてどうする?
実態すら分かっていないものを無闇に試してみるのも危険だ。
こんな沢山の目がある中で取引をするという事は、見た目はそんなにも不審なものでないという事が考えられるけど……。
「黒子、何食べてるの?」
「かき氷ですの、お兄様もお食べになります?あ、でしたらこの黒子が!」
「かき氷は今は要らないから食べていいよ。」
黒子はしゅんっとなりながらも黙々とかき氷食べ続ける。
俺は視線を美琴の方に移動する。
──いったい、幻想御掌って……
「んー!」
「ど、どうした!?」
突然目の前で頭を抑えながら唸り始めた黒子。
「かき氷で頭がキーンってなったんですの。」
「あぁ、かき氷あるあるだね。」
「キーンってなるのは嫌ですわ。」
「赤色って事は苺か、共感覚性だね」
「この前お姉様も同じ事を言ってましたわ。」
「へぇ……ん?」
「どうなさいましたの、お兄様?」
──待てよ、共感覚性って……
「あー!」
俺は思い付いた事で、勢いよく立ち上がる。
すると、それに驚いたのか黒子は飲み物でむせてしまいゴホゴホと苦しんでいた。
そして、その声は美琴達にも聞こえてしまい…
「ちょっと湊うるさいわよ!」
「ご、ごめん、幻想御掌の正体が分かったか……」
俺はつい口にしてしまった。
よく思い出してみよう。
美琴は現在、幻想御掌の情報又はその物自体を手に入れるために取引してる奴らに話しかけに行っている。
"超ぶりっ子のか弱い女の子"を演じて。
だが、俺が幻想御掌という言葉を口にしてしまった。
その俺と美琴は会話をしてしまっている。
「……お前らグルか!」
──やっぱりそうなりますよねー!!!
俺は美琴と黒子を連れて、外に逃げる。
「ちょっと離しなさいよ!」
「今は逃げるべきだー!」
「何でよ、焼いちゃえばいいでしょ!?」
「簡単に人を焼いたりしないの!」
そうして、不良と俺達の鬼ごっこが始まった。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ