626部分:第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその十二
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第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその十二
「命は賭けても。捨てないで」
「決してですね」
「そうよ。決してよ」
まさにそうだというのである。
「わかったわね」
「けれどそれはどうしたら」
「答えは必ずあるから」
「答えは」
「そう、この世界に」
こう月に告げる。
「だから。いいわね」
「兄さんが仰っていたのと本当に」
「あの人は心から貴女を心配しているわ」
神楽にもよくわかることだった。痛いまでに。
「兄として」
「兄さんだから」
「そうよ。だからね」
「では私は」
神楽の言葉を受けてだ。それでなのだった。
「その考えを受けて」
「そうよ。何があってもね」
「生きるのね」
こんな話をしていたのだった。彼女達はだ。
そこにだ。厳顔が来た。それで三人に声をかけてきた。
「面白い話をしておるようじゃな」
「あっ、厳顔さん」
「聞いていたのかしら」
「まさか」
「殆ど聞いておらん」
こう返す厳顔だった。
「しかも何の話かさっぱりわからん」
「そうだったのですか」
「そうじゃ。何はともあれじゃ」
月に述べてからだ。三人の前に座りそうして言うのであった。
「御主等も目的があるのだな」
「ええ、そうよ」
神楽が答えたのだった。
「それはね」
「そして劉備殿と共におるのか」
「縁ね」
ミナが答えた。
「これはね」
「縁あって劉備殿のところに加わったか」
「不思議なことに劉備さんのところには人が集まるのよ」
神楽はこんなことも話した。
「私達にしてもそうだったし」
「そうじゃな。あの紫苑にしてもじゃ」
「黄忠さんが」
「一体?」
「あ奴はあれでも難しい奴でな」
こう黄忠に対して話すのだった。
「今まで誰にも仕えたことはないのじゃ」
「そうだったんですか」
「うむ、それは一度もなかった」
そうだったというのだ。
「しかしその紫苑がじゃ」
「ああして劉備さんと一緒にいるのは」
「それは」
「はじめて見たことじゃ。あの紫苑がな」
「それじゃあ」
「劉備さんは」
「本当に」
それをだ。三人も悟ったのだった。そしてであった。
厳顔はだ。今度は魏延を見た。そのうえでまた言うのであった。
「あの焔耶にしてもじゃ」
「魏延さんね」
「あの人は」
「あそこまで人に懐く者ではないのじゃ」
今彼女は劉備の横にいる。そこであれやこれやと世話をしているのだった。その彼女を見てだ。厳顔は今それを言うのであった。
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