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おぢばにおかえり
第四十話 神戸に帰ってその二十七

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「誰なの?」
「高校の後輩よ」
 私はお母さんに仕方なくむすっとして答えました。
「奈良にいる筈なのに」
「はじめまして」
 阿波野君は私にまた挨拶をしてきました。
「あらためて」
「あらためてって何よ」
「いえ、神戸でもお会いしまして」
「会いたくて会ったんじゃないわよ」
 というか今もどうして会ったのか不思議で仕方ありません。
「全く、ご親戚の人のお家に遊びに来てなの?」
「はい、こっちに来てます」
「そうなのね」
「その親戚の人もおみちの人ですよ」
「そうなの、また奇遇ね」
「これがお引き寄せですね」
「そうかもね、こうしたお引き寄せもあるのね」
 私は何でこんなところでこんな子に会うのと思いつつ阿波野君に応えました、これこそまさにお引き寄せとしか思えないので。
「不思議なことね」
「確かに不思議ですね。ですが折角お会いしましたし」
「折角?」
「これからお話したりしませんか?」
「って私今は」
 お父さんとお母さんを見てから答えました。
「お父さんお母さんとお散歩中よ」
「あっ、そちらの方々がご両親ですね」
 阿波野君はお父さんとお母さんを見て言ってきました。
「成程」
「何が成程なのよ」
「いやいや、はじめまして」
 阿波野君は私をよそに二人に挨拶をしました。
「阿波野新一です、天理高校一年生です」
「おお、千里の後輩だな」
「はい、所属の大教会は奥華です」
「じゃあうちと一緒だな」
「そうなんです、それで先輩にはよくしてもらっています」
「ははは、それは何よりだな」
「千里がお世話になってるのね」
 お母さんに至ってはこんなことを言いました。
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